研究課題/領域番号 |
21K06526
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉浦 大祐 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (80743963)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 免疫補助受容体 / PD-1 / 自己免疫疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
T細胞の活性化は、T細胞受容体による刺激に加えて、様々な興奮性もしくは抑制性の補助受容体を介した刺激によって厳密に制御されている。我々は、CD80が抗原提示細胞上でPD-L1と隣り合わせに結合(シス結合)すると、T細胞上のPD-1がPD-L1に結合できなくなり、PD-1に抑制されることなくT細胞が活性化されるという巧妙な活性化調節メカニズムを見出している。本研究では、シスPD-L1/CD80結合と他の免疫補助受容体シグナルとの相互作用を検証し、より詳細なT細胞活性化調節メカニズムの解明と免疫疾患治療への応用を目指す。
|
研究実績の概要 |
生体内でT細胞が活性化される際には、様々な興奮性と抑制性の補助シグナルが同時あるいは段階的に誘導されるが、各受容体を介した補助シグナルの質的な違いや相互作用の有無、T細胞の活性化や機能に与える実際の影響はほとんど分かっていない。 我々は、シスPD-L1/CD80結合によるPD-1機能の阻害を介したT細胞の活性化調整メカニズムを明らかにしてきているが、生体内でシスPD-L1/CD80結合と他の免疫補助受容体シグナルや免疫補助受容体をターゲットした薬剤とが相互作用するか否かは不明である。 そこでまず、生体内におけるシスPD-L1/CD80結合の役割をより詳しく理解するため、シスPD-L1/CD80結合を阻害する抗CD80抗体を作製した。この抗体は、シスPD-L1/CD80結合を解除し、PD-L1とPD-1との結合を促進し、T細胞の活性化を抑制することがin vitroで確認された。さらに、抗CD80抗体の投与により、様々なマウスモデルにおける自己免疫疾患の症状の軽減が観察された。マウス関節炎モデルにおいて、抗CD80抗体と免疫抑制剤CTLA-4-Ig(アバタセプト)を同時に投与すると、相乗的な治療効果が認められた。これらの結果から、シスPD-L1/CD80結合を阻害する抗CD80抗体が作製可能であり、シスPD-L1/CD80結合を阻害することでPD-1機能を促進し、自己反応性T細胞の活性化を抑制することで自己免疫疾患の治療に応用可能であることが明らかになった。また、抗CD80抗体とCTLA-4-Igで相乗効果が認められたことから、両薬剤は異なる作用点を有する可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シスPD-L1/CD80結合を阻害する抗CD80抗体を作製し、自己免疫疾患の治療に応用できることを示した。また、抗CD80抗体とCTLA-4-Igとの相乗効果を検討し報告したことから(Sugiura et al, Nat Immunol, 2022)、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
マウス関節炎モデルにおいて、抗CD80抗体と免疫抑制剤CTLA-4-Ig(アバタセプト)が相乗的な治療効果を示したことから、両薬剤の作用点が異なる可能性が示唆された。一方、いずれかの薬剤が他の薬剤の効果に影響を与える可能性や、病態により両薬剤が示す相乗効果が異なる可能性が考えられる。そこで、各種疾患モデル、in vitro実験系等を用いて両薬剤が与える影響を詳細に検討する。
|