研究課題/領域番号 |
21K06529
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐藤 卓史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (70555755)
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研究分担者 |
森岡 弘志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (20230097)
山中 邦俊 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (90212290)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | トランスサイレチン / レドックス / 線虫 / アミロイドーシス |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢化社会の到来とともに神経疾患関連のアミロイドーシスの重要性はさらに増しており、治療薬の開発のみならず、健康寿命を延ばすために予防戦略の構築が切望されている。ATTRアミロイドーシスはトランスサイレチン(TTR)が加齢に伴いアミロイド線維を形成して発症するが、加齢がどのようなメカニズムで発症に影響を及ぼすかは不明である。本研究では、加齢依存的な細胞外環境の酸化還元(レドックス)バランスの変化がATTRアミロイドーシスの発症を制御するか明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
ATTRアミロイドーシスは野生型および変異型トランスサイレチン(TTR)が加齢に伴いアミロイド線維を形成して発症する難治性疾患であるが、加齢がどのようなメカニズムで発症に影響を及ぼすかは不明である。本研究では、細胞外環境の酸化還元(レドックス)バランス変化がATTRアミロイドーシスの加齢依存的な発症を制御するか線虫をモデル生物として明らかにすることした。申請者は、TTR単量体間での変性依存的なジスルフィド結合形成による二量体化がアミロイド形成の律速段階となることを発見している。本年度は、蛍光タンパク質融合TTRを発現するトランスジェニック線虫を作製して、TTR凝集体形成評価および寿命解析を行った。作製したトランスジェニック線虫の蛍光観察により、蛍光タンパク質融合TTRはドット状の凝集体として加齢依存的に蓄積することが明らかになった。また、ジスルフィド結合形成を阻害するためにシステイン残基に変異を導入した蛍光タンパク質融合TTRを発現するトランスジェニック線虫では、加齢依存的なTTR凝集体の蓄積は観察されなかった。次に、TTR凝集体の蓄積による線虫寿命への影響を検討したところ、TTRのシステイン残基の有無により寿命は異なり、システイン残基を有するTTR発現線虫では寿命短縮が観察された。したがって、線虫では加齢に伴いTTR単量体がジスルフィド結合を形成して二量体となり、凝集体として蓄積することで毒性を発揮することが示唆された。さらに本結果を精査するために、線虫の体内で生じるジスルフィド結合TTR二量体を可視化するNanoLuc Binary Technology (NanoBiT) システムを導入したトランスジェニック線虫の作製を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画した研究内容を全て実施することができ、期待していた結果が得られた。また、次年度に使用するジスルフィド結合TTR二量体を可視化するトランスジェニック線虫の作製も完了しているため、次年度はスムーズに研究を進展することができる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はジスルフィド結合TTR二量体を可視化するトランスジェニック線虫を用いて、加齢依存的にジスルフィド結合TTR二量体が増加するかを検討する。また、酸化ストレス処理によりTTRの凝集体形成が促進するか2種類のトランスジェニック線虫(蛍光タンパク質融合TTR、NanoBiT融合TTR)を用いて明らかにする。
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