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TLR4刺激抗体の食物アレルギー抑制機序解明による新規アレルギー予防・治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 21K06532
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

塚本 宏樹  国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 准教授 (70423605)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード食物アレルギー / Toll様受容体 / 樹状細胞 / マクロファージ / IgE / 肥満細胞 / 自然免疫 / 貪食 / MDSC / リポ多糖 / モノクローナル抗体
研究開始時の研究の概要

アレルギー治療研究は、獲得免疫を直接標的とした治療戦略が多く、その研究成果の多くは、「抗原感作前の予防的治療」や「対症療法」に留まり、「根治」という意味での研究成果は乏しいのが現状である。
本研究は、根治を目的としたこれまでにない新規アレルギー治療戦略の基盤を構築すべく、Toll様受容体4刺激抗体による食物アレルギー予防・治療効果とその作用機序を明らかにする。

研究実績の概要

衛生環境の改善による自然免疫応答の質的量的変化とそれに伴う獲得免疫の変調がアレルギー増加と関係する。本研究は、アレルギー根治を目指す治療戦略の創出を目的に計画され、Toll様受容体4(TLR4)刺激抗体が食物アレルギーマウスの抗原感作を抑制(予防)するだけでなく、成立したアレルギー病態の増悪化も抑制することを見出した。TLR4刺激抗体の抑制効果の機序として、アレルギーモデルマウスの腸管肥満細胞を減少させること、血中肥満細胞活性化マーカーの上昇を抑制することを個体レベルで明らかにした。骨髄由来肥満細胞の解析からは、TLR4刺激抗体はIgE刺激による脱顆粒は抑制しないが、炎症性サイトカイン産生に代表される炎症反応を抑制することを明らかにした。肥満細胞にTLR4刺激抗体が直接作用し、アレルギー性炎症を抑制している可能性がある。また、アレルギーマウスの抗原特異的IgE抗体価も減少し、OT遺伝子組換マウスT細胞を用いた養子移入実験では、アレルゲン特異的T細胞の抑制作用も明らかにしている。T細胞はTLR4陰性であることから、樹状細胞等の抗原提示細胞を介した抗原特異的T細胞の機能抑制、それに伴う抗原特異的IgE抗体の産生抑制の機序が想定される。
本年度は、TLR4刺激抗体による骨髄由来肥満細胞のTLR4発現量を評価した。その結果、TLR4刺激抗体によるTLR4細胞膜発現量は有意に低下した。また、肥満細胞の分子生物学的解析を容易にするため、TLR4刺激抗体の効果を再現する培養肥満細胞株を4種類探索したが、初代培養株と表現型が一致する細胞は見つからなかった。また、TLR4刺激抗体による骨髄由来樹状細胞・マクロファージにおける抗原取込(貪食)に対する直接的な効果を検証したところ、TLR4刺激抗体による抗原取込の有意な低下が判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

食物アレルギーモデルの作製とTLR4刺激抗体の予防・治療効果の検証は予定通り終了し、昨年度から本年度にかけてそのメカニズムを詳細に検討する計画であった。具体的には、TLR4刺激抗体が肥満細胞を直接抑制する作用機序について、骨髄由来肥満細胞を用いたin vitro解析と受身アナフィラキシーモデルマウスを用いたin vivo解析が主な計画であった。in vitro解析はある程度進捗したが、受身アナフィラキシーモデルマウスを用いた解析は本学の実験動物飼育施設の整備が進んでいないため、昨年度から継続的な遅れが生じている。TLR4刺激抗体によるアレルゲン反応性リンパ球の抑制作用について、腸管リンパ節や脾臓細胞のアレルゲン特異的増殖反応、サイトカイン産生、樹状細胞・B細胞等におけるMHC、T細胞副刺激分子の発現量、抗原特異的B細胞数の変動等も解析を予定していたが、同様に動物実験施設の整備状況による遅れの影響を受けている。一方、骨髄由来樹状細胞やマクロファージを用いた抗原取込の解析には一定程度の進捗が認められた。このように、研究計画が細胞培養中心の実験を余儀なくされ、研究期間も1年延長したことから、全体の研究進捗状況としてはやや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

TLR4刺激抗体による肥満細胞抑制作用について、受身アナフィラキシーモデルマウスを用いて解析する。TLR4刺激抗体による骨髄由来肥満細胞への直接作用に加え、骨髄由来樹状細胞・マクロファージの抗原取込もTLR4刺激抗体は抑制したことから、これら抑制効果を伝達するシグナル経路を分子生物学的に解析したい。具体的には、主要なTLR4シグナル伝達経路に関わるアダプタータンパク質の遺伝子欠損細胞株をゲノム編集によって作製し、その機能的な変化を解析する予定である。また、TLR4刺激抗体によるアレルゲン反応性リンパ球の抑制作用について、腸管リンパ節や脾臓細胞のアレルゲン特異的増殖反応、サイトカイン産生、樹状細胞・B細胞等におけるMHC、T細胞副刺激分子の発現量、抗原特異的B細胞数の変動等、複数の指標において解析を行いたい。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2023 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (8件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Toll様受容体4刺激抗体による食物アレルギー治療効果2022

    • 著者名/発表者名
      塚本宏樹
    • 雑誌名

      アレルギーの臨床

      巻: 7月号 ページ: 766-769

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Endosomal Sequestration of TLR4 Antibody Induces Myeloid-Derived Suppressor Cells and Reverses Acute Type 1 Diabetes2022

    • 著者名/発表者名
      Locker Kathryn C.S.、Kachapati Kritika、Wu Yuehong、Bednar Kyle J.、Adams David、Patel Caroline、Tsukamoto Hiroki、Heuer Luke S.、Aronow Bruce J.、Herr Andrew B.、Ridgway William M.
    • 雑誌名

      Diabetes

      巻: 71 号: 3 ページ: 470-482

    • DOI

      10.2337/db21-0426

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 食物アレルギーを抑制するToll様受容体4刺激抗体の肥満細胞抑制作用2023

    • 著者名/発表者名
      塚本宏樹
    • 学会等名
      第13回国際医療福祉大学学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 糖尿病性腎臓病評価法に用いる蛍光標識フェニルサルフェートの合成2023

    • 著者名/発表者名
      熊谷知大、小田垣水晶、秋山泰利、松本洋太郎、塚本宏樹、金光祥臣、富岡佳久
    • 学会等名
      第62回日本薬学会東北支部大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Toll様受容体4刺激抗体は食物アレルギーを予防、抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      塚本宏樹、小林洋平、渡邉悠理香、渡邊康一、富岡佳久
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Toll様受容体4刺激抗体は肥満細胞の炎症反応を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      塚本宏樹、小林洋平、渡邉悠理香、富岡佳久
    • 学会等名
      第40回日本薬学会九州山口支部大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 根治を目指すToll様受容体4刺激抗体による食物アレルギー予防・治療戦略2022

    • 著者名/発表者名
      塚本宏樹
    • 学会等名
      第12回国際医療福祉大学学会学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Toll様受容体4刺激抗体の食物アレルギー予防・治療効果2022

    • 著者名/発表者名
      塚本宏樹、小林洋平、渡邉悠理香、富岡佳久
    • 学会等名
      第39回日本薬学会九州山口支部大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ヒトToll様受容体4を抑制する低分子組換え抗体の発現と機能評価2021

    • 著者名/発表者名
      塚本宏樹、鵜飼一歩、山形由貴、武内偲乃、富岡佳久
    • 学会等名
      第94回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 不活性型二量体構造の誘導によるヒトToll様受容体4抑制機序の解明と創薬への応用2021

    • 著者名/発表者名
      塚本宏樹
    • 学会等名
      第11回国際医療福祉大学学会学術大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [備考] 国際医療福祉大学福岡薬学部薬学科ホームページ

    • URL

      https://fukuoka.iuhw.ac.jp/faculty/ps/teacher/08409.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
  • [備考]

    • URL

      https://fukuoka.iuhw.ac.jp/faculty/ps/teacher/08409.html

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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