研究課題/領域番号 |
21K06534
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
齋藤 康昭 北里大学, 薬学部, 助教 (00631730)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | D-アミノ酸 / D-アラニン / D-アミノ酸オキシダーゼ / ラセマーゼ / 線虫 / 老化 / 遺伝子挿入 / 組換えタンパク質 / 寿命 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトを含めた哺乳類体内には、遊離型のD-アミノ酸が多く存在し、重要な生理学的役割を持つことが明らかになりつつある。D-アミノ酸代謝の中心的な役割を担う酵素はD-アミノ酸オキシダーゼ(DAO)である。これまでに研究代表者らは、線虫C. elegansを材料にしてD-アラニンとDAOが寿命に深く関与することを見出した。そこで、D-アラニンとDAOがどのように寿命制御に関与するのかを、寿命研究の成果が豊富な線虫を用いて明らかにする。寿命決定機構の解明は、老化によって生じる疾患の予防や治療、ひいては健康長寿社会の実現につながる。
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研究実績の概要 |
我々は以前に、線虫を材料にしてD型アミノ酸が寿命に深く関与することを見出した。D-アラニンの体内含量は老化に伴って著しく増加し、若齢期(成虫1日目)と比較すると約6倍に達した。更に、D-アラニンの体内含量を低下させる目的で樹立した、線虫D-アミノ酸オキシダーゼDAO(D-アラニンの分解を担う酵素)の高発現線虫は、野生株に対して寿命が半分にまで低下した。つまり、D-アラニンは抗老化因子として寿命制御に重要な役割を果たしていることが示唆された。本研究の目的は、D-アラニンがどのように寿命制御に関与するのかを明らかにすることである。 DAO高発現線虫における老化過程のD-アラニン含量;前述したDAO高発現線虫はDAOトランスジーンを染色体外に持つ。そこで、DAOトランスジーンを安定的に発現させるために紫外線照射で染色体への挿入を行った。種々の条件検討を行ったが、染色体に挿入された株を樹立することが出来なかった。 D-アラニン合成酵素の探索;上記の結果から、別の方法を用いて、D-アラニンの体内含量が低下した線虫個体を得ることに着手した。すなわち、D-アラニン合成酵素を欠損した線虫変異体を得る。アラニンのラセミ化を触媒してD-アラニンを合成する酵素アラニンラセマーゼ(AlaR)は細菌と一部の真核生物で見出されているが、線虫にはそのホモログが存在しない。また、大腸菌シスタチオニンβリアーゼはAlaR活性を持つ多機能酵素であることが報告されている。我々は、AlaR N末端ドメインを持つ機能未知のタンパク質と、大腸菌シスタチオニンβリアーゼと相同性が高いシスタチオニンγリアーゼを線虫AlaRの候補とし、これらの組換えタンパク質の機能解析を行った。その結果、これらの組換えタンパク質に微弱ながらAlaR活性を検出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、DAO高発現線虫における老化過程のD-アラニン含量を決定し、体内D-アラニン含量が低下した線虫株を得ることを計画していた。しかし、前述のように、DAOトランスジーンを安定的に発現するDAO高発現線虫を現在のところ樹立できていない。一方、我々は、組換えタンパク質解析によりAlaR活性を有するタンパク質を見出した。次年度はこれらのタンパク質を欠損した線虫変異体を解析する計画であるため、本研究課題の進捗状況は"やや遅れている"と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、DAOトランスジーンを安定的に発現するDAO高発現線虫を樹立するために引き続き条件検討を行う。また、本年度に見出したAlaR活性を有するタンパク質を欠損した線虫変異体の体内D-Ala含量の定量および寿命解析を行う。
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