研究課題/領域番号 |
21K06547
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
福田 友彦 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (40433510)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | α1,6フコシル化 / Fut8 / 神経炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
マウスを用いた研究から、α1,6フコシル化の減少が炎症反応に対する脆弱性を増すことを明らかにしている。逆に、α1,6フコシル化を増加させれば炎症反応を抑制できるはずである。生体には結合様式の異なるフコシル化があるので、α1,6フコシル化を特異的に増加させるには、α1,6フコース転移酵素Fut8の発現促進が有用であるが、これまでの研究から困難であることがわかっている。そこで、先天性糖鎖形成異常症の糖鎖補充療法を参考に、Fut8のドナー基質合成経路の一つであるsalvage経路を活性化し、神経炎症抑制の可能性とその機序をFut8ヘテロ欠損マウスを用いて明らかにする。
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研究実績の概要 |
N-結合型糖鎖の根元にα1,6フコースを転移する糖転移酵素(Fut8)欠損マウスの脳ではグリア細胞の活性化・炎症反応が生じ易いことを見出し、さらにFut8ヘテロ欠損マウスが野生型マウスとの中間の表現型であった。これらは、生理的な状況ではα1,6フコースによりグリア細胞の活性化が抑制されていることを強く示唆していることから、α1,6フコシル化の減少が炎症反応に対する脆弱性を増すのであれば、α1,6フコシル化を増加させれば炎症反応を抑制できると考え、実験を進めている。これまで、Fut8ヘテロ欠損マウスはLPSを用いて誘導した炎症応答が野生型より大きいことと、L-フコースの投与によるFut8のドナー基質であるGDP-フコース合成のsalvage経路活性化を介したFut8の活性化による炎症抑制効果を明らかにしている。 今年度は、そのメカニズムを理解するために、LPS 刺激により神経炎症を誘導するミクログリア細胞注目した。Fut8ヘテロ欠損マウスにL-フコースを投与するとJAK2、Akt、STAT3 のリン酸化レベルなど、IL-6 の下流細胞シグナル伝達が抑制された。さらに、Fut8ヘテロ欠損マウスでは、IL-6 などのサイトカインの共通受容体サブユニットである gp130 のフコシル化レベルが低下しているが、L-フコース投与によってフコシル化が回復した。これらの結果は、L-フコース投与によるタンパク質のα1,6フコシル化が神経炎症において重要な役割を果たしており、L-フコースが神経炎症に対する潜在的な予防化合物であることを示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳内における抗炎症作用薬が統合失調症の治療における増強療法の一つの手段となりうると考えられていることから、L-フコース経口投与と神経保護作用を有する薬剤(塩酸ミノサイクリン)の併用による相乗効果をIVIS・ミクログリア活性化・行動試験で評価する計画であったが、まず、L-フコースの投与による炎症抑制のメカニズムの解明を優先させたため、今年度は、この段階まで進まなかった。しかし、Fut8ヘテロ欠損マウス脳内ではサイトカイン受容体を構成する gp130 のα1,6フコシル化レベルが低下しているが、L-フコース投与によって回復することを明らかに出来たことで、L-フコースが神経炎症に対する潜在的な予防化合物であることを示唆する結果を得たので、最も大切な点はクリアできたと考えている。今回到達しなかった部分は、大切な部分であるが、応用的な部分でもあるので、次年度に引き続き行う。
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今後の研究の推進方策 |
今年度到達しなかった、L-フコース経口投与と神経保護作用を有する薬剤の併用による相乗効果の検討に加え、ホモ欠損マウスと異なり、統合失調症様症状が認められないFut8ヘテロ欠損マウスに、拘束ストレス負荷を加えることにより、統合失調症様のエンドフェノタイプが現れることから、ストレス負荷に対するL-フコース投与の効果を検討する。さらに、その分子メカニズムを明らかにするため、AMPA受容体複合体形成とその機能変化などを検討する。これらを明らかにすることで、糖鎖(L-フコース)が神経炎症に対する潜在的な予防化合物であることを明らかにする。
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