研究課題/領域番号 |
21K06561
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
稲住 知明 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (80746503)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | プロスタグランジン / 受容体 / コラーゲン / 骨格筋 / 線維症 / プロスタグランジン受容体 / 微小環境 / 線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
組織修復過程やがん、線維症といった病態の進行には、コラーゲンを中心とした細胞外マトリクスにより構築される、局所微小環境が重要な役割を担う。本研究では、プロスタグランジン(PG)受容体が微小環境制御を介して、こうした生理、病態プロセスを調節するのかを明らかにすることを目的とし、受容体の欠損マウスで各種病態の進行が変化するか、またPGが線維芽細胞のコラーゲン産生制御に寄与するのかを調べる予定である。
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研究実績の概要 |
プロスタグランジン (PG)は生体膜リン脂質からホスホリパーゼA2によって切り出されたアラキドン酸をもとに、シクロオキシゲナーゼを律速酵素として産生される代表的な生理活性脂質であり、発熱、疼痛、炎症を代表とする様々な生理作用を示す。申請者はこれまでに、PG受容体欠損マウスを用いた解析から、生体内で一部のPG受容体が、脂肪組織、骨格筋をはじめとする多くの組織において、特定のコラーゲン分子種の産生に寄与する可能性を見出した。本コラーゲン分子は、最近、組織の繊維化、がんの進行、筋再生などに重要な役割を果たすことが報告されていることから、本研究では、PG受容体がコラーゲンなどの細胞外環境の制御を介して、こうした病態生理過程を調節するのかを検証することを目的とした。 昨年度の解析において、種々の培養細胞系を用いてPG受容体が本コラーゲン産生を亢進させる条件を探索し、筋芽細胞や繊維芽細胞では高細胞密度条件で顕著な効果を示すことが明らかとなった。そこで本年度では、圧負荷刺激によりその恒常性が制御される骨格筋に着目し、マウスの後肢モデルを用いて、筋萎縮、筋回復におけるPG受容体の寄与を解析した。その結果、一部のPG受容体の発現が筋萎縮時に低下し、筋回復時に亢進することを見出した。また、本受容体の欠損マウスでは筋回復が遅延する傾向が認められ、本受容体が骨格筋の恒常性維持に関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス後肢固定モデルにおいて、筋萎縮や筋回復が再現良く観察できる条件の設定に時間を要したため、ノックアウトマウスを用いた解析の評価を数多くこなせなかったことから、当初の予定より「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
上記の後肢固定モデルにおいて各PG遺伝子欠損マウスや受容体遮断薬投与の効果を解析し、PG受容体の骨格筋制御における重要性を確認する。また、PGが筋細胞やその他の支持細胞など、どの細胞種に作用して効果を発揮しているのか、またコラーゲン産生の筋制御における寄与についても評価していく予定である。
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