研究課題/領域番号 |
21K06564
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 湘南医療大学 (2022) 明治薬科大学 (2021) |
研究代表者 |
市川 智恵 湘南医療大学, 薬学部医療薬学科, 准教授 (60383288)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | Trichosporon / グリコサミノグリカン / 病原真菌 / 病原因子 / 形態変化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、健常者に常在・定着する真菌が感染症を引き起こす条件とそのメカニズムを明らかにすることを目的とする。予後不良なトリコスポロン症の起因菌Trichosporon asahii は高頻度にコロニー形態を変える特徴がある。そこで、T. asahiiは、ヒトとの共生に適した低病原性のコロニー形態と、感染症を引き起こしやすい高病原性コロニー形態を切り替え、有利になるように病原因子発現を制御していると考えた。両コロニー形態を比較することで、新たな真菌病原因子を同定し、疾病を起こすメカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
高度医療の進歩により、免疫力の低下した患者や高齢者が増加していることで、日和見感染症として発症する真菌感染症の対策が望まれている。本研究では、ヒトに共生・定着する真菌が、どのようなメカニズムで病原性を示すようになるのか、という点に着目して解析を行っている。 本年度は、昨年に引き続き病原性酵母Trichosporon asahii の新たな病原因子を探索した。ヒト組織のグリコサミノグリカン(GAG)への結合性と病原性への関与を調べるためにGAGとしてはヘパリン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸などを候補として使用した。ヘパリンセファロースビーズ精製で得られたヘパリン結合分子HepBP1について、リコンビナントタンパク質を作製して機能解析を行う手法を検討している。また血清中のタンパク質がT. asahiiへ結合することで栄養源確保や足場形成に関与する可能性を考え、ヒトリコンビナントタンパク質を用いてT. asahii結合分子を同定した。菌体を用いたプルダウン法を用いてビトロネクチンなど複数の分子がT. asahii結合分子として同定された。糖タンパク質が候補分子として複数見出されており、T.asahiiとヒトタンパク質との結合に糖鎖の関与も示唆された。この成果を論文として投稿した。また、接着因子の候補としてリストアップしたT. asahii adhesin proteinを高発現するコロニー形態でヒト培養細胞への接着性が高い結果などを専門学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までに行った研究成果を論文として投稿中である一方、2022年度から代表者が新設学部へ異動になったことで実験を行うための整備が遅れている。コロナ禍であったため施設の建設が遅れ、実験環境も整っていない状況での異動となり、試薬の購入手続きや実験機器の準備なども滞っていた。そのため、必要な実験が行えていない状況が続いている。現在、試薬を購入しながら手続きなどを含めた実験環境の整備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
T. asahiiの病原因子の探索を続けるとともに、これまでに見出した病原因子候補の機能解析を進める。病原因子候補のうち、次年度は特にGAG結合タンパク質について解析し、ヘパリン結合分子の性状を明らかにする。解析が遅れている他のデルマタン硫酸を持つプロテオグリカンとT. asahiiとの結合性の解析や、コートプレートへの接着性、低分子または高分子GAG存在下での増殖能などを解析し、感染におけるGAG結合の役割を明らかにする。リコンビナントのT. asahii adhesin protein を作製し、GAGとの結合性を解析する。また、T. asahiiは高頻度なコロニー形態変化をおこすことが特徴であるため、コロニー形態によってこれら病原因子候補の発現量や機能が変わるかを解析する。
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