研究課題/領域番号 |
21K06587
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
大野 行弘 大阪医科薬科大学, 薬学部, 教授 (00432534)
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研究分担者 |
清水 佐紀 大阪医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (00630815)
國澤 直史 大阪医科薬科大学, 薬学部, 助教 (10858096)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アストロサイト / 空間的カリウム緩衝機構 / 内向き整流性Kir4.1チャネル / 精神疾患 / うつ病 / 不安障害 / てんかん / 神経疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
アストロサイトの空間的カリウム(K+)緩衝機能は、神経発火に伴い上昇する細胞外K+のクリアランス機構であり、アストロサイトに局在する内向き整流性Kir4.1チャネルにより仲介される。近年、Kir4.1チャネルの機能変動が中枢疾患の発症に重要な役割を果たすことが示唆されているが、その詳細な調節メカニズムは不明である。そこで本研究では、精神疾患の発症制御におけるグリア空間的K+緩衝機構の役割を明らかにすることを目的とし、各種疾患モデルにおけるKir4.1チャネルの発現変動を時空間的に解析するとともに、精神疾患の発症および治療におけるグリア機能を明らかにする。
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研究実績の概要 |
アストロサイトの空間的カリウム緩衝機能は、神経興奮に伴い増加する細胞外カリウムを除去するクリアランス機構の一つであり、アストロサイトに局在する内向き整流性Kir4.1チャネルにより仲介されている。本研究では、種々の動物モデルを用いて、精神神経疾患の発症および治療におけるKir4.1チャネルの役割を明らかにする。本年度は以下の検討を行い、アストロサイトKir4.1チャネルの阻害薬がうつ病や不安障害など精神疾患の治療に有用であることを明らかにした。
①アストロサイト初代培養系を用いて、Kir4.1チャネル阻害薬による神経栄養因子の発現に及ぼす影響を評価した。その結果、Kir4.1チャネル阻害薬がBDNF、GDNF、NGFなど神経栄養因子の発現を上昇させることが明らかとなった。また、マウスでうつ症状を誘発するcorticosteroneは培養アストロサイトにおけるBDNF、GDNFおよびNGF発現を低下させたが、これら作用はKir4.1チャネル阻害薬の前処置によって有意に拮抗された。 ②マウス高架式十字迷路試験試験を用いて、lipopolysaccharide(LPS)投与による不安障害に対するKir4.1チャネル阻害薬の作用を評価した結果、これら薬物がオープンアームへのエントリー回数と滞在時間を増加し、抗不安効果を示すことが明らかとなった。また、LPS誘発うつ症状に対するKir4.1チャネル阻害薬の作用を評価した結果、これら薬物が強制水泳試験および尾懸垂試験における無動時間の延長を改善することが示された。 ③中枢神経系薬物の作用発現におけるアストロサイトの役割を探るため、本態性振戦モデルであるニコチン誘発振戦の薬理研究を実施した。その結果、ニコチン振戦の発現はドパミン神経系の制御を受けていることが示唆された。今後、ニコチンによる運動興奮症状(振戦、けいれん発現など)の発現におけるアストロサイトの役割を探る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究展開の全体像が掴めてきた。すなわち、複数の行動薬理学的評価系において、Kir4.1チャネル阻害薬が抗うつ効果や抗不安効果を示すことが確認され、アストロサイトのKir4.1チャネルが精神疾患の発症と治療に深く関与することが示されてきた。また、アストロサイト初代培養細胞を用いたin vitro実験系において、Kir4.1チャネル阻害薬がBDNFやGDNFなどの神経栄養因子の発現を促進することが示された。一般に、うつ病患者ではこれら神経栄養因子の発現は低下しており、Kir4.1チャネル阻害薬の抗うつ作用メカニズムが明らかとなってきた。さらに、アストロサイト特異的不活性化剤であるフルオロクエン酸を脳内投与した動物モデルにおいて、Kir4.1チャネルの発現低下がけいれん感受性の亢進を引き起こすことも確認されており、アストロサイトがてんかんの治療ターゲットとしても有用であることが示唆されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Kir4.1チャネルの発現調節に関わる生体因子(生理活性物質、神経伝達物質、受容体-シグナル伝達系、エピジェネティック制御系)を探索し、新たな治療法や創薬研究のコンセプトを提案する。
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