研究課題/領域番号 |
21K06601
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
佐藤 久美 北海道科学大学, 薬学部, 教授 (00235334)
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研究分担者 |
高栗 郷 北海道科学大学, 薬学部, 准教授 (90623710)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 腹部大動脈瘤 / 血管平滑筋細胞 / YAP1 / 炎症 / 細胞死 |
研究開始時の研究の概要 |
腹部大動脈の直径が拡大する腹部大動脈瘤は、多くは70歳以上で発症し、一旦破裂すると致死率は90%に上る。そのため、腹部大動脈瘤の治療は、破裂の予防に重点が置かれているが、ステントグラフト内挿術などの手術に限られており、早急な治療薬の開発が切望されている。 腹部大動脈瘤の形成・破裂の機序は、完全に解明されてはいないが、血管中膜を構成する血管平滑筋細胞の細胞死や慢性的な炎症状態などが関与している。血管平滑筋細胞の細胞死を制御するHippo経路関連分子YAP1が、腹部大動脈瘤の形成・破裂に及ぼす影響はわかっていない。 本研究では、腹部大動脈瘤の形成・破裂におけるYAP1の生理的役割を検討する。
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研究実績の概要 |
腹部大動脈瘤の破裂は、80-90%と死亡率が極めて高い。腹部大動脈瘤の発症は、70歳以上の高齢者に多く、超高齢化が進む我が国では今後増加が予想される疾患である。現在、腹部大動脈瘤の治療は、ステントグラフト内挿手術などの手術に限られており、術後に再び瘤の形成も観察されることから、著効をもたらす治療薬の開発が急務である。 腹部大動脈瘤の形成の機序は、メタロプロテアーゼMMP2による細胞外マトリックスの分解、血管平滑筋細胞の増殖・細胞死、炎症性細胞の浸潤などが関与することが報告されている。 これまで申請者は、Hippoシグナル伝達経路に制御される転写共役因子YAP(yes-associated protein)1に着目し、YAP1が血管平滑筋の増殖、細胞死、炎症を制御することを見出している。今年度は、血管平滑筋細胞特異的YAP1ノックアウト(YAP1-KO)マウスを用いて、腹部大動脈瘤の形成における血管平滑筋細胞のYAP1の生理的役割を明らかにすることを目的とした。 6週齢マウス(Myh11-CreER/T2; YAP1 flox/flox, ApoE-/-、コントロールマウスとしてYAP1 flox/flox, ApoE-/-)にタモキシフェンを5日間(2mg/kg)投与し、8週齢になったところでアンジオテンシンII (1μg/kg/min)を4週間投与し、瘤のサイズ、炎症性サイトカイン発現およびマトリックスメタロプロテアーゼMMP-9の発現を検討した。YAP1-KOマウスでは、コントロールマウスに比べ、瘤の形成が促進されるとともに、IL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインおよびMMP9の発現・活性が亢進した。すなわち、YAP1は、本モデルにおいて、腹部大動脈瘤の形成に対して保護的に働くことが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
得られたマウスの匹数が限られていたため、今後例数を増やした解析が必要あり、また当初予定していたメカニズムの解析まで至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
①免疫組織染色やイメージング法を駆使し、瘤形成の特徴をより詳細に検討する。 ②YAP1-KOマウスから単離した腹部血管平滑筋細胞を用いて、細胞死、増殖および炎症におけるYAP1の役割を詳細に検討する。
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