研究課題/領域番号 |
21K06606
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
鳥羽 裕恵 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (90351270)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | エリスロポエチン / ドラッグ・リポジショニング / インスリン抵抗性 / 動脈硬化 |
研究開始時の研究の概要 |
インスリンシグナル経路の中核はPI3K-Akt経路であることから「エリスロポエチンが肝臓、骨格筋だけでなく、血管内、腎臓内のPI3K-Akt経路を活性化することで、各々のインスリンシグナル異常を改善できるか」、エリスロポエチンについて「貧血治療薬からメタボリックシンドローム患者に対する動脈硬化抑制薬としてのドラッグ・リポジショニングが可能か否か」について、インスリン抵抗性モデルラットにエリスロポエチンを投与し、その効果を生理学、薬理学、生化学的な検討から明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
12%スクロース水を飲料水として10週間投与することでインスリン抵抗性モデルラットを検討に用いた。HOMA-IRの測定から、耐糖能異常が発症していることを確認した。研究代表者がこれまでに、エリスロポエチンの腎性貧血治療薬の枠を超えた腎保護薬、血管保護薬としての有用性について報告した過去の研究に基づき、造血を呈さなかった150 U/kgのエリスロポエチンをスクロース負荷開始時から週3回、皮下投与すると4週以降で血圧上昇が顕著に認めることを初年次に確認したため、今年度はエリスロポエチンの投与期間を最後の4週間とし、投与量も半減した条件(75 U/kg)での再検討を行った。初年次にはサンプル数が十分でなかったため、サンプル数を追加するとともに、さらにエリスロポエチンの投与量を半減した群も作製した。75U/kg群、37.5U/kg群ともにヘマトクリット値の上昇を認めたが、前者では血圧を上昇する傾向にあったものの有意ではなく、後者では血圧に影響を与えなかった。耐糖能異常は両群とも改善が認められた。75U/kg投与群では内皮依存性弛緩反応と大動脈外膜層における浸潤マクロファージ数を改善する傾向を認めた。尿蛋白に影響はなかったが、腎髄質における尿細管間質の線維化を軽減する傾向が認められた。これらの結果から、エリスロポエチンはスクロース負荷インスリン抵抗性モデルラットの耐糖能異常を改善し、血管や腎臓における炎症を抑制する可能性が示唆された。また、エリスロポエチンによる耐糖能改善機序を検討すべく、肝臓におけるAkt経路の活性化をウェスタンブロット法でリン酸化Aktの発現から評価したが、全群に有意差を認めなかった。今後は他の経路の関連や、脂肪や骨格筋におけるAkt経路の関与を検討する予定である。また、血管や腎臓におけるAkt経路についても検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年次に研究代表者の過去の報告を参考に、部分腎摘術により作製した慢性腎臓病モデルやストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルラットの血管障害を、造血を伴わずに改善作用を発揮したエリスロポエチンの投与量を採用したが、予想に反し、ヘマトクリット値の上昇とともに、造血による副次的な作用を考えられる血圧上昇が引き起こされてしまった。高血圧は腎障害や血管障害の要因であるため、エリスロポエチンによる造血薬の枠を超えた腎保護作用、血管保護作用の検討に適切な投与量の再設定が必要となったぶん、当初の計画よりもやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
12%スクロース水負荷により作製したインスリン抵抗性モデルラットを用いた検討を引き続き行う。当初の投与量、投与期間から減量、短縮した条件である、75U/kgの用量でエリスロポエチンを4週間投与し、収集したサンプルを用いて、検討を進め、肝臓、骨格筋、血管、腎臓におけるインスリンシグナル経路に対するエリスロポエチンの効果を解明していく。有意ではなかったものの、若干の血圧上昇を認めたため、十分な臓器保護効果が認められない場合は37.5U/kg投与群のサンプル数を追加し、検討を行う。今年度は投与条件を変更した(75U/㎏)ラットのサンプルを集めることが中心であったため、今後は収集したサンプルを用いた検討、特に、ウェスタンブロット法による細胞内シグナル経路に関する検討を中心に行い、本課題の目的達成を推進していく方策である。
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