研究課題/領域番号 |
21K06618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
井上 英史 東京薬科大学, 生命科学部, 名誉教授 (20184765)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 抗老化 / ポリフェノール / プロシアニジン / 線虫 / 神経 / C. elegans / 寿命 / 老化 / 感覚神経 |
研究開始時の研究の概要 |
環境の変化に応じて生存戦略を制御する仕組みは,老化抑制と関連している.カカオ由来プロシアニジンのうち四量体以上の重合度のものを主とする画分は,線虫C. elegans の寿命を延長する作用を示す.その作用にはある特定の感覚神経を介しており,Gタンパク質αやグアニル酸シクラーゼ,CaMKIIなどが関与している.また,下流においては,消化管あるいは下皮のCaMKII-p38 MAPキナーゼ経路や浸透圧ストレス応答に関連する因子が関わることを見出している.この課題では,高重合度プロシアニジンがどのように感覚神経に入力するか.そして,そのことがどのような経路・機構で老化を抑制しているかを明らかにする.
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研究成果の概要 |
カカオ種子由来プロシアニジンは,線虫C. elegansの寿命を延長する.その活性は,ある種の感覚神経とその細胞内シグナル伝達に関わる因子,感覚神経下流の介在神経,神経細胞・非神経細胞のCaMKIIとp38 MAPK経路,および浸透圧ストレス耐性に関連する因子に依存する.寿命延長の活性成分は,シンナムタンニンA2などの四量体以上のプロシアニジンである.四量体以上のプロシアニジンには浸透圧ストレス耐性を付与する作用も示す.種々の遺伝子欠損株等を用いた検証から,寿命延長と浸透圧ストレス耐性付与のメカニズムは関連していた.ただし,必ずしも因果関係にはないと考えられる.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
社会の高齢化が進み,健康寿命を保つことが重要である.線虫C.elegansは老化研究によく使われるモデル生物であり,ポリフェノール類が線虫の寿命を伸ばすという報告は多い.しかし,関与する遺伝子は必ずしも一致せず,さまざまな機構が想定される.この研究では,プロシアニジンが線虫の寿命を延長する際に,神経系を介することを初めて明らかにした.しかも,その作用は四量体以上のプロシアニジンに依存している.高重合度プロシアニジンの人への作用が近年着目されるようになったが,そのメカニズムは不明である.この研究で得た知見が,高重合度プロシアニジンが人の健康にどのように寄与するかの理解へつながることが期待される.
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