研究課題/領域番号 |
21K06632
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
高山 靖規 昭和大学, 医学部, 講師 (60711033)
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研究分担者 |
丸山 健太 生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 特任准教授 (60724119)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Piezo1 / 大腸ガン / リクイリチゲニン / TRPV4 / アノクタミン1 / エストロゲン |
研究開始時の研究の概要 |
機械感受性イオンチャネルであるPiezo1の活性は細胞増殖を促し、癌を増悪させる。申請者は植物由来の天然化合物であるリクイリチゲニンにPiezo1阻害作用があることを発見した。また、申請者はマウス大腸癌由来細胞株CMT-93細胞においてPiezo1の機能的発現を発見した。そこで本研究では、リクイリチゲニンによるPiezo1阻害を介した大腸ガン抑制機構の解明を目指す。 一方で、HEK293T細胞(正常細胞株)でPiezo1を欠損させると致死的環境における生存率が高まった。つまり、Piezo1阻害は癌を抑制しつつ、癌周辺の正常細胞を保護すると考えられる。そのため、この機構についても解明を目指す。
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研究実績の概要 |
細胞膜の伸展や圧迫により活性化する非選択的カチオンチャネルであるPiezo1の活性化は癌細胞増殖を促す。その為、Piezo1 阻害剤の探索は新規の癌治療の光明となることが期待されるが、現時点でその存在はほとんど知られていない。本研究においては、フラボノイドの一種であるリクイリチゲニンにPiezo1阻害効果があることを発見しており、この天然化合物は新規抗癌剤シーズとしての可能性を秘めている。 実際、培地へのリクイリチゲニンの付加によりマウス大腸ガン由来細胞株CMT-93細胞はほぼ全滅した。これに加えて、既存の抗がん剤であるフルオロウラシルも検討したが、全滅とまではいかなかった。 ゲノム編集によりPiezo1を欠損したCMT-93細胞を作製した。しかしながら、Piezo1欠損型においても野生型と同等にリクイリチゲニンは細胞を殺滅した。ただし、Piezo1活性化剤であるYoda-1による増殖促進は欠損型では観察されなかった。さらに意外なことに欠損型のベースの増殖能は野生型よりも向上していた。この結果の要因として考えられることはPiezo1と同じようにカルシウムを透過させることのできるイオンチャネルTRPV4の発現である。TRPV4も細胞膜伸展により活性化する。RT-PCRにより欠損型ではTRPV4が高発現することを発見している。 これらの結果から、リクイリチゲニンによる抗がん作用はPiezo1非依存的である可能性があるが、一方でPiezo1欠損により増悪化したガン細胞をもリクイリチゲニンは撃滅し得ることが判明した。また、Piezo1欠損型においてはTRPV4が新たな阻害標的となる可能性が生じた。 Piezo1自体の機能解析も進めており、細胞培養において用いるディッシュ面をマトリジェルコーティングすることによりPiezo1の機械刺激による活性化が高まることを発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CRISPR-Cas9ゲノム編集によるPiezo1欠損CMT-93細胞の作製が完了した。また、それを使った薬理学的検討がおおよそ終わった。現在、マウスにおけるDSS誘発大腸炎および大腸ガンに関するin vivo実験の準備も整った。 Piezo1以外のカルシウム透過性チャネルの探索も行なった結果、TRPV4がCMT-93に発現しており、Piezo1欠損型CMT-93細胞ではより高発現していることをRT-PCRにより解析できた。これは、Piezo1欠損に伴うガンの悪性化にTRPV4が寄与する可能性を示している。
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今後の研究の推進方策 |
リクイリチゲニンは腸内細菌叢においてリクイリチンより代謝される。そこで、リクイリチンを経口投与したマウスにおいてDSSによる腸炎および大腸ガンの発生が抑制されるのかを検討する。 Piezo1がより活性化する培養条件を発見した為、リクイリチゲンによる抑制効果にその条件が影響するのかホールセルパッチクランプ記録により検討する。
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