研究課題
基盤研究(C)
本研究は新たな治療方針に基づく認知症の「根本」治療薬のシード化合物を見出し、同治療法の提案に繋げることを目指す。既存の認知症治療薬は全て対症療法薬であるため、根本治療法として「神経新生」に着目し、特に神経突起伸展の促進に焦点をあてる。研究代表者は最近、「糖化タンパク質が神経突起伸展を抑制する」現象を見出し、老化や糖尿病に起因する糖化タンパク質によって神経新生が阻害される可能性を仮定した。このメカニズムを解明し、ターゲットとした創薬研究を実施することで老化や糖尿病によって低下する神経新生の回復による治療を目指す。
新しいメカニズムによる認知症治療薬シード化合物の探索では、5種の生薬からカルバゾール型アルカロイドなどをはじめとする有望な化合物を数点見出した。上述メカニズムでは作用を期待出来なかった生薬成分についても、フェニルプロパノイド配糖体などにAβオリゴマー仮説に基づく認知機能障害抑制作用を見出した。また本研究を実施する上で主要な手法となったターゲット結合性物質の探索による治療薬シード探索法の有用性についても示すことができた。
本研究では新規メカニズムによる認知症治療薬シードを数点見出したこと以外に、ターゲットに直接結合する成分の分析手法や、予定外であった作用による有効成分を見出すことが出来た。これらのことから本研究成果は、新たな治療薬候補を開発するにとどまらず、新たな視点による認知症治療方法の開発の一助となることが期待できる。また本研究で確立した検出手法についても、今後の類似研究への応用が期待できる。
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