研究課題/領域番号 |
21K06638
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
山本 博文 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70461366)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 構造活性相関 / 化学合成 / 分化誘導物質 / アサクサノリ / ケミカルバイオロジー / 藻類培養 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、地球規模での海水温の上昇や水質変化が引き金となって、天然に自生する海藻は激減し、養殖海苔の水揚げ量も右肩下がりに歯止めが掛からない。このような状況のもと、申請者は、化学者としての独自の着眼点から、海藻の生殖と生育サイクル(生活環)を好循環させる低分子有機化合物を探索してきた。そして、最近、光学活性な低分子有機化合物がアサクサノリの生活環を好循環させることがわかった。この作用は「これまでのアマノリ養殖法を一新する」可能性がある。本申請研究では、この新知見のさらなる進展と実養殖への応用を目指して、この低分子化合物の効果や作用を詳しく調査する。
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研究実績の概要 |
これまで、当初の計画に従って、種々のヒダントイン誘導体を系統的かつ網羅的に合成してきた。今年度は、昨年度、上手く合成できなかった末端側鎖にアミド基を有するヒダントイン誘導体の合成に取り組んだ。これまでの知見から末端側鎖にアミド基を有するヒダントイン誘導体は水中でのラセミ化もほぼ無く、最も効果的な単胞子分化誘導活性を示すと考えられる。報告者らが既に見出している単胞子分化誘導活性化合物は複雑な構造ではないものの,既存の発色剤(アニス試薬やニンヒドリン試薬等)では呈色できず、UV吸収も低いことから、TLC等で化合物の追跡をすることが困難である。そこで,まず分子を目視できる工夫として,報告者らが別途に開発した蛍光分子に,目的化合物の前駆体となるカルボン酸を縮合した。その後,蛍光を頼りにカラム精製した後,有機溶媒中でアンモニアガスを通気し、エステルをアミノリシスすることで、目的の末端アミド構造を持つアラントイン誘導体へと導いた。アミノリシス反応後は、目的化合物が高い水溶性を示すことから,分液による水相の回収で、化合物のみを高純度に得ることができた。核磁気共鳴スペクトル(NMR)、高分解能MS分析においても、末端側鎖にアミド基をもつことが確認できている。次年度は本化合物軍の大量合成法を検討すると共に、合成した化合物においては、アサクサノに対する分化誘導活性を確認し、屋外での陸上養殖試験へと展開していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年、未完成であったアラントイン誘導体においても合成が完了した。そのため、分化誘導活性における構造活性相関を総合的かつ系統的に評価できる。本研究課題は順調に進行しており、当初の計画通りに、次年度も研究を実施できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、海水温が下がる秋口からの陸上養殖試験を目指して、早々に分化誘導活性の評価と再現性を確認する。陸上養殖試験では、無性生殖サイクルで育苗したアサクサノリが正常な葉状体を形成するのか等の成長プロセスにフォーカスし、成長率も含めて、試験を実施する予定である。
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