研究課題/領域番号 |
21K06648
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
町田 麻依子 北海道科学大学, 薬学部, 准教授 (50347788)
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研究分担者 |
山 佳織 北海道科学大学, 薬学部, 講師 (60780559)
今田 愛也 北海道科学大学, 薬学部, 教授 (10557945)
佐藤 秀紀 北海道科学大学, 薬学部, 教授 (80711829)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | miRNAs / バイオマーカー / 免疫疲弊 / 免疫チェックポイント阻害剤 / Nr4a1 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 免疫関連有害事象 / がん / 有害事象 / がん化 / miRs |
研究開始時の研究の概要 |
がんの治療の質向上の為には、がん発症前の慢性疾患のがん化について、がん治療中の患者の病勢変化および副作用について、適切なバイオマーカーを利用したモニタリングを行い、タイムリーな医療介入を行うことが必要である。 本研究は、がん発症前の慢性疾患の患者、がん化学療法を行う患者を対象として、病勢悪化をもたらす免疫、炎症、がん細胞の増殖や転移・浸潤に抑制的に関与することが知られている複数のマイクロRNAに着目している。このマイクロRNAの血中濃度の変化についてモニタリングし、病勢や従来の検査項目などと共に総合的に病勢を評価し、新しいバイオマーカーとしての臨床上の有用性を検討する。
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研究実績の概要 |
肺がんに関しては目標症例数には到達していないが、ペムブロリズマブ投与にてスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)を発症したが、SJS症状の消失後がんの完全寛解が得られた希少な肺扁平上皮がん患者と、がん腫背景を揃えた症例の解析を行なった。治療経過中の指標の血中濃度モニタリングデータの重回帰分析から、治療転帰が全く異なる患者間共通の免疫応答が明らかとなった。 免疫関連有害事象(irAE)の発症リスクとの関連性が示唆されている好中球/リンパ球比(NLR)に対して、Nr4a1 mRNA血中濃度が強い抑制因子として、抗腫瘍性サイトカインIFN-γが強い促進因子として寄与率高く関与していた。更に、IFN-γの誘導に対して、miR-29a-3p及びmiR-155-5pの誘導が促進的に、寄与率高く関与していた。急性炎症時のレオスタット作用からT細胞疲弊の忍容性向上能を有するmiR-29a-3pと、慢性炎症によるT細胞疲弊適応向上能を有するmiR-155-5pが、ICI治療管理に役立つ免疫応答性のバイオマーカー候補として、有用である可能性が認められたことから、学会発表した。 また、非小細胞肺がんと非肺がん(肝硬変)患者のmiRNAs間の差異を利用して、受信者動作特性(ROC)曲線のAUCから群間識別力を検討した。非小細胞肺がんを他群との判別においてmiR-29a-3p及びmiR-17-5pの高い識別力と、miR-21-5pの低い識別力が認められ、2024年度以降に肺がん症例数を増やし検証する予定である。 一方、肝臓がん合併肝硬変患者の他群との判別において、miR-21-5pの識別力が比較的高く、腫瘍マーカーやサイトカインと傾向スコア化した場合の識別力が極めて高いことが明らかとなり、肝硬変患者において統計の信頼度が担保される症例数の解析であることから、肺がんに先行して海外論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肺がん患者エントリーが遅延している理由として、臨床研究開始時と比べて、免疫チェックポイント阻害薬単剤治療レジメンを実施する患者数が減少し、複数併用レジメンを実施する場合が増えている事が影響していると推察する。更に、当初予定していた新規医療施設獲得の橋渡しを担当する予定であった研究協力者が退職し、計画通りの医療施設の拡大を行うことが出来なかったことの影響が大きかったと推察する。年度途中で、代替え施設獲得の為の研究スタッフ変更について倫理委員会に申請して承認を受けたが、実際の施設確保に至らなかった。 測定計画として、免疫応答性指標としてランニングコストが低い指標を先行して測定し、ランニングコストが高いmiRNAsを纏めて測定予定であった。2023年度には肺がん症例数は不足しているが、当初の予定通り得られた症例について、miRNAsの測定に着手した。 肺がん症例に関しては症例数は不足しているが、2022年度までの血中サイトカイン及び末梢血単核球由来のT細胞のマスター転写因子のm RNAsの解析結果を受けて、免疫疲弊や免疫不応に関与する因子の有用性が示唆さられたことから、免疫疲弊の忍容性に関与するmiRNAsについて着目して測定を行った。希少例を中心に解析を行い、症例発表は行うことができた。 一方、非肺がん(肝硬変)患者エントリーは順調であり、単一施設であるが、目標に近い症例数を短期間に集めることが可能であり、順調にmiRNAsを含めた指標の測定を行った。肺がん症例数の不足から、肺がんと非肺がん患者の比較については、統計学的なパワー不足で十分な検討は難しかった。しかしながら、非肺がん患者群間に関する病態の質的違いの比較については、十分な検討が可能であり、インパクトを伴う結果が得られたことから、先行して得られた知見を論文化するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降の研究が引き続き可能となるように、現行の臨床研究については倫理委員会に観察期間延長とスタッフ変更について申請して、既に承認を取得済みである。 当初予定であった新規医療施設との橋渡し教員が退職にて研究分担者の資格を喪失したが、当該医療施設に移動したことから研究支援者として支援が得られる予定である。当該医療施設に対して、改めて研究可能な環境整備や人的資源確保の為に連携を密にして働きかける。 当初予定であった新規医療施設の代替医療施設獲得の為に、新たなスタッフを追加で動員予定であり、臨床研究の組織を充実させる予定である。 期間中に得られるエントリー患者検体の測定解析について、コストパフォーマンスを損なわないように、効果的に纏めて継続的に測定及び解析する。
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