研究課題/領域番号 |
21K06657
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
|
研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
森 秀治 就実大学, 薬学部, 教授 (50220009)
|
研究分担者 |
豊村 隆男 就実大学, 薬学部, 准教授 (40425137)
渡邊 政博 就実大学, 薬学部, 講師 (10758246)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 炎症 / 自然免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
生活習慣病に代表される組織リモデリング病態の病巣局所に内因性AGEが出現し,これらが炎症・免疫系の過剰亢進を介して病巣の拡大・増悪化に大きく関与すると共に,内因性AGEのシグナル遮断が病態制御に直結することを見出した。本研究では,1)内因性AGEをコアとする起炎性複合体(いわゆる細胞外起炎性インフラマソーム)の構成因子群の同定と存在様式を明確化すると共に,2)各構成因子間の相互作用と制御機構の実態解明を行い,3)内因性AGE-受容体間結合評価系を駆使したシグナル遮断物質の探索研究を実施し,組織リモデリング病態に対する新規分子標的薬の開発・応用を目指す予定である。
|
研究実績の概要 |
炎症の遷延化は,動脈硬化などの生活習慣病を惹起する重大な危険因子である。しかしながら,これらの病態に対する根治的な治療法は未確立のままであり,超高齢化社会を迎えた現代医療が取り組むべき最重要課題である。申請者らは,炎症病巣の局所に複数の内因性AGEsが出現し,これらが炎症の過剰亢進を介して病巣拡大に大きく関与することを見出している。一方で,内因性AGEsの存在様式や相互作用因子の実体,相互作用に伴う機能制御と病態生理学的意義については,ほとんど解明れていない。本研究において,AGEsを不溶性担体に担持させた親和性担体を調製し,AGEsと相互作用し得る生体因子の網羅的探索研究を行った結果,AGEsに高い結合親和性を示す一連の細胞性因子ファミリーを見出した。これらをタグ付き昆虫細胞発現系で内毒素フリーの組換え体タンパク質として発現させ,高純度の可溶性標品を調製した。得られた標品を用いてDCF法による相互作用解析を行った結果,本因子はAGEsのみならず他のDamps分子とも直接的に結合し複合体を形成することが見出した。そこで,このようなDamps分子への結合および複合体形成と行った現象が炎症応答にどのような効果をもたらすのかについて解析を行った。マクロファージ様RAW264.7細胞を用いて炎症応答に及ぼす機能解析を行ったところ,上記の細胞性因子は因子自体に有意な炎症応答促進作用は無かったものの,その一方で強い炎症促進作用を示すHMGB1-LPS共刺激によって誘導されるTNF-a mRNA発現亢進を有意に抑制反応することが明らかとなり,見出した細胞性因子は直接的相互作用を介してDampsによる炎症応答に影響与える新規Damps調節因子である可能性が示唆された。今後は,この制御反応の分子メカニズムについて詳細な解析を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,Dampsと直接的に相互作用し得る細胞性因子を新たに見出し,これらがDampsと複合体を形成することによってDamps誘導性炎症応答の制御に働いていることを細胞レベルで明らかにすることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究で見出した細胞性因子とDampsとの機能性複合体形成に基づく炎症制御反応を分子レベルで詳細に検討するとともに,炎症病巣における複合の存在証明の究明を行っていく予定である。
|