研究課題/領域番号 |
21K06664
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
川上 純一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (50272539)
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研究分担者 |
内藤 隆文 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 教授 (80422749)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | オピオイド誘発性便秘 / がん性疼痛緩和 / 薬物動態 / オピオイド / 薬物代謝酵素 / 薬物輸送担体 / がん悪液質 / 炎症性サイトカイン / オピオイド系鎮痛薬 / がん病態生理 |
研究開始時の研究の概要 |
末梢性μオピオイド受容体拮抗薬のナルデメジンは、オピオイド誘発性便秘治療薬として、がん性疼痛緩和において欠くことのできない薬剤である。ナルデメジンの消化管におけるμオピオイド受容体の拮抗作用には、優れたオピオイド誘発性便秘の軽減効果が認められるものの、重度の下痢や離脱症候群を発症する患者、オピオイド誘発性便秘に対し効果不十分な患者が一部存在する。本研究では、がん患者を対象にがんの病態進行に伴うナルデメジンとオピオイド系鎮痛薬の薬物動態、臨床効果及び忍容性の個人差について、悪液質の進行度や炎症性サイトカインの血中濃度に基づく解析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、がん患者を対象にナルデメジンの体内動態、オピオイド誘発性便秘に対する排便効果および有害作用の個人差について、がんの病態進行に伴う生理学的変化や薬物代謝酵素や薬物輸送担体の遺伝子多型に着目し、解析を行った。以下、2022年度における研究の実施状況および研究成果を記載する。 2023年3月末の時点で、58名の患者から同意を得られ、検体を収集している。すでに患者登録が完了し、血中ナルデメジン濃度解析、一部の遺伝子解析や炎症マーカーの測定も終了している。 現時点で明らかになっている結果として、血中ナルデメジン濃度は、CYP3A5*1保有群に比べ、*3/*3群において有意に高値を示した。一方、ABCB1の遺伝子多型間で血中ナルデメジン濃度に違いは認められなかった。CYP3A活性のマーカーである血中4β水酸化コレステロールは血中ナルデメジン濃度と負の相関を示した。がん性炎症を反映する血中IL-6濃度と血中ナルデメジン濃度との間には有意な関係は認められなかったものの、悪液質の進行度に応じて血中ナルデメジン濃度が低下する傾向が認められた。また、栄養状態を反映する血清総タンパク濃度と血中ナルデメジン濃度との間に有意な正の相関が認められた。 以上の結果から、CYP3A5の遺伝子変異が血中ナルデメジン濃度を規定する要因の一つであることが示された。また、がん悪液質の病態下では栄養状態の悪化に伴いナルデメジンの吸収低下による曝露量低下を生じる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に患者登録が完了し、薬物動態解析や一部の遺伝子解析も終了し、得られたデータをもとに患者データの解析が実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
血中ナルデメジン濃度とオピオイド誘発性便秘に対する排便効果との関係、オピオイド誘発性便秘に対する排便効果の個人差要因を明らかにするための関連因子の評価、エピジェネティック因子の解析を進める。
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