研究課題/領域番号 |
21K06670
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 (2023) 九州大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
江頭 伸昭 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (80352269)
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研究分担者 |
川尻 雄大 九州大学, 薬学研究院, 講師 (30621685)
山本 将大 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (50825693)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 末梢神経障害 / 生体膜リン脂質 / グリセロリン脂質 / ドラッグリポジショニング / 抗がん薬 / 脂質メディエーター / がん化学療法 |
研究開始時の研究の概要 |
オキサリプラチンなどの抗がん薬は、高頻度で末梢神経障害(手足のしびれや痛みなど)を引き起こしてがん患者の日常生活の質を著しく低下させるだけではなく、重篤例ではがん治療の継続が出来ず、医療現場で切実な問題となっている。しかし、抗がん薬誘発末梢神経障害の有効な予防/治療薬はなく、医療ニーズが満たされていない疾患(副作用)である。本研究では、神経障害の病態形成や神経再生に関与する生体膜リン脂質に着目し、新たな抗がん薬誘発末梢神経障害予防/治療薬の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
オキサリプラチンなどの抗がん薬は、高頻度で末梢神経障害を引き起こし、がん患者のQOLを著しく低下させるだけではなく、重篤例ではがん治療の継続が出来ず、医療現場で切実な問題となっている。しかし、抗がん薬誘発末梢神経障害の有効な予防/治療法は確立されておらず、アンメットメディカルニーズが満たされていない疾患(副作用)である。我々はこれまで行ってきた研究から、膜タンパク質の異常とともに引き起こされる抗がん薬による坐骨神経の軸索やミエリンの変性などが、末梢神経障害発現の引き金になっている可能性を明らかにしてきた。一方、生体内の全ての神経系組織にあるリン脂質(グリセロリン脂質)は、生体膜形成(細胞の隔壁)、エネルギー貯蔵庫、シグナル伝達メディエーターとしての役割以外に、坐骨神経の軸索やミエリンの制御などの機能も有しており、末梢神経障害の病態形成に関与することが示唆されている。そこで本研究では、神経障害の病態形成に関与する生体膜リン脂質に着目し、新たな抗がん薬誘発末梢神経障害予防/治療薬の開発を目指す。今年度は、昨年度に引き続き、抗がん薬(オキサリプラチン、パクリタキセル、ボルテゾミブ)をラットに反復投与して、動物モデルを作製し、坐骨神経、脊髄後根神経節などのサンプルを採取し、脂肪酸分析、エイコサノイド分析を実施した。すべてモデルにおいて,脊髄組織では顕著なリピドーム変化は認められなかった。一方、坐骨神経とDRGにおいて、リン脂質画分の脂肪酸組成に目立った変化はなかったが、中性脂質画分では、オキサリプラチンモデルで坐骨神経における中性脂質量の減少、DRGにおけるパルミチン酸量の増加が認められた。パクリタキセルやボルテゾミブのモデルでは目立った変化はなかった。また、エイコサノイド分析では、オキサリプラチンおよびパクリタキセルモデルにおいて、変化傾向のある脂質メディエーターを複数見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LC/MS/MS質量分析装置の都合や、勤務先が変更となったため、脂質解析等全体的に進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在実施している、抗がん薬誘発末梢神経障害の動物モデルにおけるグリセロリン脂質および脂質メディエーターの脂質解析を進めて、いくつかの責任分子を同定していく。一方、培養細胞や動物モデルを用いて、候補薬やグリセロリン脂質関連物質の神経障害抑制効果を検証していく予定である。また、今後は、質量分析顕微鏡による空間情報の取得や、組織を構成する細胞種ごとのリピドミクスを実施することで、詳細な情報を収集する必要がある。
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