研究課題/領域番号 |
21K06683
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 教授 (90341453)
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研究分担者 |
中川 慎介 福岡大学, 薬学部, 准教授 (10404211)
松本 純一 福岡大学, 薬学部, 助教 (10550064)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | COPD / テストステロン / 抗アンドロゲン薬 / フルタミド / 慢性閉塞性肺疾患 / 男性更年期 / 肺気腫モデルマウス |
研究開始時の研究の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療選択肢は気管支拡張薬による対症療法に限られ、その病態解明も十分には進んでいない。特に、COPDは併存症が多いことから多臓器疾患とも捉えられているが、その分子機構は未だ解明されていない。申請者らは、COPDモデルマウスの精巣を摘出してテストステロンを欠乏させると、モデルマウスの肺気腫が拡大することを見出した。本研究では、COPDにおけるテストステロンの低下を軸に、内分泌系-肺-脳の他臓器連関の異常化に伴うCOPD病態の進展・増悪機構を明らかにする。さらに、COPD患者における抗アンドロゲン薬の安全性情報の基盤構築を目指す。
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研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)の治療選択肢は気管支拡張薬による対症療法に限られ、その病態解明も十分には進んでいない。申請者らは最近、COPDモデルマウスの精巣を摘出してテストステロンを欠乏させると、COPDモデルマウスの肺気腫が拡大することを見出した。本研究では、テストステロン量低下を軸とした内分泌系-肺-脳の多臓器連関の異常化とCOPD病態の進展・増悪機構の関連について明らかにする。 昨年度までの研究実績として、(1)精巣摘出(ORX)およびPPE誘発COPDモデルマウスにおけるT細胞の肺浸潤と肺気腫の拡張および(2)同モデルマスにおける肺病変に対するプロピオン酸テストステロンの保護的な作用を報告した。 本年度は肺気腫形成に対する抗アンドロゲン薬の作用を検討するため、フルタミド投与したC57BL/6JマウスにPPEを気管支内投与することで肺気腫形成に対するアンドロゲン受容体の役割について検討を行った。フルタミド投与マウスでは、vehicle投与マウスと比較して、PPE投与21日後における平均肺胞径が有意に増大した。また、PPE投与2日後におけるBALF中の炎症細胞数をフローサイトメトリーで計数したが、vehicle/PPE投与群とflutamide/PPE投与群に有意な差は認められなかった。これらの結果から、ORXによるテストステロン低下と抗アンドロゲン薬によるアンドロゲン受容体(AR)シグナル阻害では肺気腫形成の増悪機構が異なると推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はCOPD薬物治療における抗アンドロゲン薬の安全性情報の基盤構築を目指し、フルタミドがPPE誘発肺気腫形成を増悪させることを明らかとした。現在はPPE誘発肺気腫形成に対する他の抗アンドロゲン薬の作用についても検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果として、ORXに伴うテストステロン低下だけでなく抗アンドロゲン薬投与によるARシグナル阻害もPPEが誘発する肺気腫形成を増悪させることを明らかとした。しかしながら、フルタミド投与マウスではORXマウスとは異なりPPE投与時の肺へのT細胞浸潤増加が認められなかった。ゆえにフルタミドによるARシグナル阻害が肺気腫形成を増大させる機序としてT細胞の肺への浸潤増加以外の肺気腫形成機構の存在が考えられる。 今後は、T細胞の定量的な解析だけなく、Treg細胞やTh17細胞などのT細胞サブセット解析や肺胞上皮細胞障害機構におけるARシグナルの検討も含めて研究を立案・計画する。 また、PPE誘発肺気腫形成に対するフルタミド以外の抗アンドロゲン薬の作用についても並行して検討をおこなう。
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