研究課題/領域番号 |
21K06686
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
仲佐 啓詳 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任教授 (60260478)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | CHDF / AN69ST膜 / 抗菌薬 / 吸着 / CHDF回路モデル |
研究開始時の研究の概要 |
AN69ST膜HFは、高い吸着特性を有するHFとして発売されているが、同時に使用する抗菌薬に対しても吸着することが懸念されていた。我々は集中治療室において使用される代表的抗菌薬を用い in vitro で検討したとこる、ある種の抗菌薬においては薬物濃度の明らかな減少を認め、AN69ST膜への抗菌薬の吸着を確認し報告した。 本研究では in vitro の実験系によりAN69ST膜に対する抗菌薬の吸着の影響と吸着機序を解明する。吸着を認める抗菌薬については、AN69ST膜HFに対する吸着量を推定する。最終的に、臨床使用する際の抗菌薬の至適投与量を確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
敗血症治療としてcytokine-absorbing hemofilter(CAH)を用いたcontinuous hemodiafiltration (CHDF)が施行されている。我々は、AN69ST膜に対する抗菌薬の吸着の影響をin vitroで検討を行い、抗MRSA薬においてその影響が高いことを報告した。本研究では、より臨床条件に近いCHDF回路モデルにて抗MRSA薬のAN69ST膜hemofilterに対する吸着の影響を検討した。 抗MRSA薬は、vancomycin (VCM)、teicoplanin (TEIC)、linezolid (LZD)、arbekacin (ABK)、daptomycin (DAP)を使用した。各抗菌薬溶液はAN69ST膜hemofilterを設置した血液浄化装置を用いて循環させ、経時的に分取した。分取した溶液は分光光度計を用いて測定し含有量を定量した。5、60minにおけるCHDF回路モデルのクリアランス(CLCHDF)も算出した。 ABKの含有率は開始直後から低下し30minには測定限界以下となった。TEIC、VCM、DAPも開始直後から含有率は低下し60minでは16.7%、37.7%、40.7%となった。ABK、TEIC、VCM、DAP のCLCHDF は5minにおいて高値を示したが、60minでは全て10mL/minまで低下した。LZDは5、60min共に10mL/min以下だった。 AN69ST膜hemofilterのcytokineに対する吸着は施行開始直後から60minまでの間に主に作用することが報告されている。ABK、TEIC、VCM、DAP は、5minにおけるCLCHDFが著明に増加したことから吸着の影響を受けた可能性が高いと示唆された。また、各薬剤の含有率の低下は、膜レベルで行なった吸着の検討と類似性が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膜を断片化して行って検討の次の段階として、より臨床条件に近いCHDF回路モデルにて抗MRSA薬のAN69ST膜hemofilterに対する吸着の影響を検討した。 抗MRSA薬は、vancomycin (VCM)、teicoplanin (TEIC)、linezolid (LZD)、arbekacin (ABK)、daptomycin (DAP)を使用した。各抗菌薬溶液はAN69ST膜hemofilterを設置した血液浄化装置を用いて循環させ、経時的に分取した。分取した溶液は分光光度計を用いて測定し含有量を定量した。5、60minにおけるCHDF回路モデルのクリアランス(CLCHDF)も算出した。 今回の内容を第33回日本医療薬学会年会に演題登録を行ったところである。 また、本研究で構築したABKの定療法について、英文論文として査読のある雑誌へ投稿し、審査中である。 アルブミンを用いた検討は繰越しとした。
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今後の研究の推進方策 |
1)吸着を認めた抗菌薬についてタンパク結合を考慮した条件下での吸着の検討 抗菌薬の中には、血液中でアルブミンなどのタンパクと結合して存在する。タンパク結合型と非結合形ではタンパク結合率が高い薬剤ほど透析除去されにくい傾向にある。そこで、アルブミン存在下における吸着挙動を検討する。アルブミン存在下での吸着挙動を膜断片や回路モデルにて検討する 2)AN69ST膜のみならず、他の臨床使用されている膜における吸着挙動の比較検討 AN69ST膜以外の膜の特性を断片化した膜においてin vitroで比較検討を行ってきたが、CHDF回路モデルを用いて各種膜を用いたカラムでの比較検討を行う。さらに、アルブミン存在下での比較検討を行う。
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