研究課題
基盤研究(C)
我が国の肺癌の罹患率は高く、死亡数は依然として第1位である。この不良な治療成績を改善することが最大の課題である。我々はBHLHE41が肺腺癌において腫瘍抑制的に働くことを見出した。この肺腺癌における増殖抑制機構にオートファジーが関わっていることが示唆された。しかし、その詳細なメカニズムについてはまだわかっていない。本研究ではBHLHE41の解析を通じてがん治療への応用の可能性を探るために(1)BHLHE41によるオートファジー細胞死誘導機構(2)オートファジー細胞死以外の細胞死の関与(3)肺腺癌細胞におけるBHLHE41の発現制御の解析を行う。
昨年同様、BHLHE41がどのようにオートファジーまたは細胞死を誘導しているかを調べるため、本年度も引き続きBHLHE41の標的遺伝子とBHLHE41の発現誘導時に変化する遺伝子について検討を行った。BHLHE41が発現した際にオートファジーの誘導因子BNIP3のmRNAレベルが減少することがわかった。さらにシスチントランスポーターのmRNAレベルも調べたが発現は変化していなかった。タンパク質発現は検討していないが、このことからBNIP3によるオートファジー経路は関与していないことが明らかになった。昨年度に明らかにしたAIFM2はフェロトーシスに関わる因子であることからフェロトーシスに関わる細胞内の鉄に注目し鉄貯蔵タンパク質フェリチン(FTH、FTL1)のmRNAの発現を調べたところ、BHLHE41の発現によってmRNAの発現には影響していなった。BHLHE41がAIFM2とBNIP3を制御しているか調べる為に、両遺伝子のプロモーター領域をクローニングした。
3: やや遅れている
昨年度から実施していたAIFM2のプロモーター領域のクローニングがうまくいかず、時間を要してしまった。併せてBNIP3のプロモーター領域のクローニングも試みたが思うように進まず、時間を要してしまった。
mRNAで変化がみられた遺伝子、トランスポーターに関してタンパク質発現を調べる。作製したAIFM2とBNIP3のプロモーター領域のレポーターアッセイを行う。必要であればCHIPアッセイを行いBHLHE41が直接制御しているかを調べる。オートファジーの主要因子であるmTORC1の活性状況を調べる。オートファジーと新たにフェロトーシスの関与が示唆されているため2つの現象が独立もしくは繋がって起きているかも検討する。フェロトーシスはフェリチノファジーと呼ばれるオートファジーの一つと関係していることが知られているのでフェリチノファジーに関わるタンパク質の発現を調べる。
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