研究課題/領域番号 |
21K06697
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
|
研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
喜里山 暁子 同志社女子大学, 薬学部, 准教授 (00234401)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | ドネペジル / シロスタゾール / アセチルコリン / ラット / PK/PD解析 / マイクロダイアリシス / 薬物動態学/薬力学モデル / 薬物相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病治療薬・ドネペジルをモデル薬として、生理的条件を基礎としつつ、解析の煩雑性を回避するため可能な限り簡略化した薬物動態学/薬力学モデルを構築し、薬物の体内動態より効果を論理的に説明することを目的とする。また薬物併用時の効果や副作用の変化を明らかにするため、併用薬の体内動態を考慮した相互作用のモデルに拡張し、さらにヒトモデルへ発展させていく。本研究により、取扱いが容易で相互作用まで理論的に表現可能な薬物動態学と薬力学をつなぐモデルが提唱できる。
|
研究実績の概要 |
第1段階の「ドネペジル単独投与時のPK/PDモデルの構築」でドネペジルのPK/PDモデルについての検討では、PKモデルに一般的な2-コンパートメントモデル、PDモデルにアセチルコチン濃度推移を間接反応モデルにて解析し、ドネペジル1.25および2.5 mg/kg投与後についてモデルを報告した。次に、「シロスタゾールとの相互作用発現時のPK/PDモデルへの発展」を目指し、シロスタゾール併用時におけるドネペジルのPKおよび臓器移行性について検討した。シロスタゾール併用により、ドネペジルの血漿中濃度推移は単独投与時より低濃度で推移し、半減期や平均滞留時間に大きな変化は認められなかったものの、全身クリアランスがやや増加、分布容積の有意な増加が認められた。両薬物はいずれも血漿中でのタンパク結合率が高いことから起こった相互作用であると考えられる。併用投与時では、単独投与時よりもドネペジルの投与量が低用量で副作用が発現することから、副作用を引き起こす心臓、効果をもたらす脳をはじめとした組織移行性に影響を及ぼす可能性が推察される。ドネペジルの単独投与時とシロスタゾール併用投与時の臓器移行性の比較は、ドネペジルのPKや効果に及ぼすシロスタゾールの影響や生理学的モデル構築に必要となるKp値算出に用いる。静脈内点滴開始後30分および300分で全血採血および肝臓、腎臓、脾臓、心臓、脳を直ちに摘出後臓器ホモジネート液を作成し、ドネペジル濃度を測定し臓器移行性を検討した。単独投与時のドネペジルの臓器移行性は、投与後30分では肝臓、心臓、腎臓、脳の順に高く、300分では肝臓、腎臓、心臓、脳の順に高くなった。単独投与時の臓器移行性が、シロスタゾール併用によってどのように影響を受けるかについても検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シロスタゾール併用時のドネペジルの体内動態、脳内のアセチルコリン濃度の推移、臓器移行性について検討を行っているが、シロスタゾールの心毒性および、難溶性のため、腹腔内投与で実験を行っているが、シロスタゾールの血漿中濃度推移の個体差が大きく、その結果効果や臓器移行性への影響の評価が難しくなっている。特に、シロスタゾールの血漿中濃度推移によって、シロスタゾールのドネペジルの体内動態への影響が変化することから、シロスタゾールの体内動態も大変重要となる。また同時に併用時のアセチルコリン濃度の推移も検討することから、安定した体内動態の把握が必要になる。
|
今後の研究の推進方策 |
シロスタゾール投与液の調製に注意して一定条件となるようにし、引き続きシロスタゾールとの併用投与時のドネペジルの臓器移行性について検討する。得られたデータを用いて生理学的モデルをPKモデルとした単独投与時のPK/PD解析を行う。それと並行して、ドネペジルとシロスタゾール併用時の両薬物のPK、臓器移行性およびPD推移の検討を行い、シロスタゾールの血漿中濃度推移を組み込んだドネペジルの体内動態について生理学的モデルをPKモデルとしたPK/PD解析を行う。ラットにおけるPK/PDモデルを構築できた後、そのモデルを基礎として、ヒトでのドネペジル投与後の血漿中濃度推移と効果の推移の予測についてスケールアップについて検討する。その過程で、ヒトとラットでの違い、シミュレーションを行うに当たって生じた問題点などについて整理して、様々な薬に応用する際の基礎的情報を提供していく。
|