研究課題/領域番号 |
21K06699
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
細川 美香 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (70548271)
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研究分担者 |
大河原 賢一 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30291470)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | エピジェネティック修飾薬 / 低酸素 / 併用療法 / 固形がん |
研究開始時の研究の概要 |
エピジェネティック修飾薬は通常の抗がん剤と異なり遺伝子修飾の制御作用を有するため、がんの悪性形質を改善する新たながん治療薬として期待されている。しかし、臨床応用されているのは血液系がんに対してのみである。本研究では、固形がんにおいて抗がん剤治療効果の低下、すなわち耐性化に重要な役割を果たすがん微小環境の低酸素に着目し、低酸素環境下においても抗がん剤の効果を改善可能なエピジェネティック修飾薬を探索すると共に、その効果改善の機構を明らかにする。この研究により、低酸素下で抗がん剤治療に耐性を示す固形がん細胞に対するエピジェネティック修飾薬を活用した治療法の開発、更には固形がんでの適応拡大を目指す。
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研究実績の概要 |
1年目の研究において、がん細胞を低酸素培養した時の感受性の低下が顕著であった抗がん剤SN-38に着目し、エピジェネティック修飾薬がSN-38の感受性を改善する機構について検討した。エピジェネティック修飾薬としては、顕著な改善作用を示したヒストンメチル化阻害薬を用いた。 まず、低酸素培養した場合に、ヒストンメチル化阻害薬の標的となるヒストンメチル化酵素EZH2のタンパク発現が変動しているか否か検討した。EZH2のタンパク発現は低酸素培養により増大していた。さらに、EZH2によってメチル化を受ける部位であるヒストンH3のリジン27トリメチル化(H3K27Me3)のレベルについても、低酸素培養において増大していた。また、他のリジン残基のヒストンのメチル化レベル(H3K4Me3、H3K9Me3)は変化していなかった。 EZH2増大が抗がん剤SN-38の低酸素による耐性に関与しているか否か検討するために、EZH2阻害薬DZNepに加え、 EZH2 siRNA前処置の影響について検討した。EZH2阻害薬DZNep及びEZH2 siRNA前処置いずれの場合においても、低酸素下でのSN-38の感受性は増大した。また、EZH2 siRNA前処置により、EZH2およびH3K27Me3の発現レベルは低下した。なお、EZH2阻害薬DZNep前処置では、H3K27Me3レベルの低下は観察されたが、EZH2レベルは変動しなかった。この理由として、DZNepはEZH2を間接的に阻害することから、EZH2を機能的には阻害しているが発現は低下しなかったと考えられる。従って、低酸素により減弱したSN-38の効果は、ヒストンメチル化の阻害によって改善したことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目に予定していた、低酸素による抗がん剤耐性化機構ついて、エピジェネティック機構が関与していることを明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目において低酸素における抗がん剤耐性化にエピジェネティック機構であるヒストンメチル化の亢進の関与が明らかになった。そこで、ヒストンメチル化酵素の阻害薬を前処置した時に、低酸素により減弱された抗がん剤の効果が、どのような機構を介して改善されているかについて検討する。具体的には、アポトーシス、細胞周期、活性酸素産生量、ミトコンドリア膜電位などを正常酸素と低酸素の比較により調べる。 一般的に、低酸素環境に陥ったがん細胞は、低酸素誘導因子の活性化により細胞内での過剰に産生された乳酸が細胞外に排泄され、細胞外は酸性になる。そのため、低酸素環境になると同時に酸性環境にもなることが多いと考えられるため、微小環境である低酸素と酸性の影響を分離評価する予定である。当初予定していたマウスでの抗腫瘍効果を見る前に、がん細胞を用いて、低酸素に加え、酸性環境の影響を追加検討する。具体的には、低酸素と同様に、酸性環境下で培養したがん細胞において、抗がん剤の感受性やエピジェネティック機構に関わる因子の遺伝子発現を検討する。
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