研究課題/領域番号 |
21K06704
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
中村 秀明 崇城大学, 薬学部, 准教授 (30435151)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ブラジキニン / 腫瘍 / pH応答性 / ポリマー / がん / 高分子性抗がん剤 / HPMAポリマー / ナノメディシン / 腫瘍血流 / 血管透過性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、腫瘍血管を制御する腫瘍選択作動型ブラジキニンを創製し、同薬剤の併用により高分子性抗がん剤の腫瘍集積、抗腫瘍効果の増強が観られるかを検討する。腫瘍選択作動型ブラジキニンは、腫瘍選択的な血管拡張および血栓溶解作用を持たせる薬物設計をしており、協調的に腫瘍への流入血液量を増加させ、抗がん剤の腫瘍集積性を増強すると考えている。本研究では、複数の腫瘍選択作動型ブラジキニンを作製し、腫瘍内への流入血液量が乏しい難治性がんモデルマウスを用いて評価する。本研究成果は既存の高分子性抗がん剤の腫瘍への集積増強に寄与するだけではなく、抗がん効果と集積増強効果を併せ持つ抗がん剤の創製に繋がると考えている。
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研究成果の概要 |
がん選択的に作動するブラジキニン(CS-BK)の創製を企図し、pH応答性が異なるHPMAポリマー結合型ブラジキニン(P-BK)を調整し、高分子抗がん剤の腫瘍集積性を検討した。pH応答性の要となるヒドラゾン結合の隣接基を変えることで、活性を損なわずにpH応答性の調節が可能であった。ポリマー結合体であるP-BKは血漿中安定性が高くBK様活性は低かったが、酸性環境に応答してBKを放出し、血管透過性亢進活性の回復がみられた。またP-BKの投与により腫瘍への流入血液量が増大し、高分子性薬剤の腫瘍集積性ならびに抗腫瘍効果の増大がみられ、これらの効果はpH応答性の高いP-BKにおいて顕著に認められた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高分子性抗がん剤(抗体医薬品やリポソーム製剤)は腫瘍などの内皮細胞間隙が広い血管を有する臓器に選択的に分布する特徴を持ち、腫瘍を標的とした多くの高分子性抗がん剤が研究・開発されてきた。しかし難治性がんでは流入血液量が乏しく血管透過性が高くないため、抗がん剤が送達されにくく、がん治療を行う上での難点の一つとなっている。ブラジキニンなどの血管作動性因子を腫瘍選択的に作用させるP-BKを用いた、腫瘍への流入血液量ならびに腫瘍血管の血管透過性を制御し、高分子性抗がん剤の腫瘍集積性を増強しようとする研究は、高分子性抗がん剤を用いたがん治療を行う上で、重要な基礎研究になると思われる。
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