研究課題
基盤研究(C)
免疫抑制剤は臓器移植患者の拒絶反応の抑制に広く用いられているが、その薬物動態は個人差が大きく、患者個別の投与量調節が必要とされている。今回、母集団薬物動態モデルおよび生理学的薬物動態モデルを応用し、臓器移植患者において薬物濃度の個人差を及ぼす原因の探索および小児のような特殊な集団における薬物動態の違いの検討を行う。その結果を用いて、各免疫抑制剤の最適投与法の構築をすることを目的とする。
通常診療で得られる血中濃度データを利用し、免疫抑制剤を対象とした母集団薬物動態モデルを構築した。肝移植患者におけるエベロリムスの解析では、エベロリムスのクリアランスに影響を与える因子を抽出し、適切な初期投与量を明らかとした。また、作成したモデルは2歳以上の小児ついても適用可能であることを示した。肺移植患者におけるタクロリムスの解析では、投与初期のばらつきの要因の一部を明らかとし、また、イトラコナゾールの血中濃度を考慮することによってイトラコナゾール併用時のタクロリムスの薬物動態変動をより適切に予測できることを明らかとした。
臓器移植後は拒絶反応の抑制のために免疫抑制剤が使用される。免疫抑制剤は薬物血中濃度のばらつきが大きく、安全で有効な治療を行うには適切な投与設計法を構築することが重要である。本研究は、肝移植患者におけるエベロリムスや肺移植患者におけるタクロリムスの薬物動態を予測する新規のモデルを構築したものである。これらのモデルにより、免疫抑制剤の薬物動態に影響する因子を明らかとし、個別化投与設計に活かすことができることを示したことに、本研究の学術的・社会的意義がある。
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