研究課題/領域番号 |
21K06719
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
野田 幸裕 名城大学, 薬学部, 教授 (90397464)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 精神疾患横断的病的CNV / アストロタクチン2 / プロトカドヘリン15 / 新生仔期免疫活性化 / 炎症性メディエーター / 神経発達 / 高次脳機能 / 免疫活性化 / プロスタグランジンE2 / 高次機能障害 / 遺伝子変異マウス / 神経発達過程 / 神経回路 / 神経細胞形態 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、脳発達過程における神経-免疫系との相互作用の観点から精神疾患の病態解明を目指す。そのため、患者ゲノム解析で見出された遺伝子の改変マウスに、新生仔期免疫活性化状態を惹起させ、多階層的(個体から分子レベルまで)研究を行う。すなわち、胎生・新生児期の大脳皮質での神経細胞の形成・発達過程において、遺伝的・環境的要因により高次脳機能障害の発症脆弱性が形成される。遺伝的要因には精神疾患横断的な病因としてのゲノム因子、環境的要因としての新生児期の感染やストレスによる免疫活性化が関与している。新生児期のゲノム変異と免疫系の双方を加味した病態解明のアプローチを行い、治療や診断の戦略を構築する。
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研究実績の概要 |
本年度は、精神疾患横断的病的CNVの一つであるアストロタクチン2(Astn2)遺伝子変異マウスの周産期に脳の免疫系を活性化させることで、複合的な曝露が高次脳機能におよぼす影響について、および野生型マウスの新生仔期に脳の免疫系を活性化させた仔の脳内炎症性メディエーターなどの神経化学的な変化について検討した。また、精神疾患横断的CNVの一つであるプロトカドヘリン15(Pcdh15)遺伝子欠失マウスにおける高次脳機能を行動学的・神経化学的に解析した。 ①Astn2遺伝子変異マウスの周産期にポリイノシン:ポリシチジル酸(PolyI:C)を投与したマウスの若年期(生後35日齢)と成体期(生後70日齢)において、社会性が低下していたが、情動(抑うつ、不安)や感覚情報処理機能に影響なかった。若年期に認められた認知機能の障害は、成体期には認められなかった。 一方、新生仔期に脳免疫系を活性化させたマウスにおいて、炎症性メディエーターである腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、インターロイキン-6(IL-6)やプロスタグランジンE2(PGE2)の生合成に関連するCOX-2の遺伝子の発現が増加していたが、Astn2の遺伝子やタンパク質の発現には有意な変化は認められなかった。 ②Pcdh15遺伝子欠失マウスでは、野生型と比較して自発運動活性や衝動性、忌避学習の亢進が認められた。また、Pcdh15遺伝子欠失マウスの側坐核において、γ-アミノ酪酸(GABA)やドパミン含量、およびグルタミン酸でカルボキシラーゼ(GAD)、GABAトランスポーター(GAT)タンパク質の発現が有意に増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Astn2およびPcdh15遺伝子変異マウスの行動解析が終了し、精神疾患横断的CNVと周産期免疫活性化を複合的に曝露したモデルマウスの作製、およびこれらのマウスの行動解析は順次実施できている。現在、複合的に曝露したモデルマウスの脳遺伝子発現の網羅的解析や神経化学的・組織学的解析を行っている。このような多階層的な解析を進めており、概ね順調に研究計画が進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、モデルマウスの遺伝子やタンパク質、代謝物の発現を網羅的・特異的に解析する。炎症過程に関連する細胞(グリア細胞など)の発現や形態、および神経細胞の形態や密度、突起長などを組織学的に解析する。脳内炎症の発現機序に関連する神経回路の分子の発現パターンを解析する。これらを通して、新規治療標的あるいは診断・治療マーカーとなりうる因子を探索する。
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