研究課題/領域番号 |
21K06720
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
河渕 真治 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (70747237)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 薬物動態-薬力学的(PK-PD)モデル解析 / 薬物動態-毒性学的(PK-TD)モデル解析 / 制吐療法 / 血液毒性 / 数理モデル解析 / FOLFIRINOX療法 / PKモデル / 個別化医療 / ファーマコメトリクス / がん化学療法 |
研究開始時の研究の概要 |
がん化学療法の治療成績は、医療技術の進歩により飛躍的に向上している一方で、抗がん剤による悪心・嘔吐は、依然として半数以上の患者が経験し、がん患者の生活の質と予後に強く影響を与えている。抗がん剤については、個々の患者に応じた薬剤の選択や投与量決定など個別化医療の実施が進んでいるのに対して、制吐剤は各々の抗がん剤に応じて画一的に投与され、十分な制吐作用が得られない場合には経験則的な対応が施されている。そこで本研究では、制吐療法の個別化を実現するために、悪心・嘔吐リスクを事前に予測することが可能なシステムを開発し、客観的根拠に基づいた制吐剤の選択や用法用量設定法を確立することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、抗がん剤と制吐剤の体内動態に着目し、制吐療法の個別化を目指した悪心・嘔吐リスク予測システムの開発に向けて研究を行っている。本年度は、消化器がん化学療法施行時の各薬物のPKモデルと毒性(TD)との関連性を記述可能なPK-TDモデルの構築について検討した。5-フルオロウラシル(5-FU)ならびにオキサリプラチン(L-OHP)をそれぞれ、臨床に準拠した用量でラットに投与後、催吐反応と関連するパイカ行動(異味症)を指標としてカオリン摂取量をモニタリングしたところ、重篤な悪心・嘔吐の発現を確認できなかった。そこで、抗がん剤の血液毒性に着目し、毒性の代替指標として血球数を用いて抗がん剤暴露量と毒性発現との関連性を記述できるPK-TDモデルの構築を試みた。5-FU、L-OHPに加えてイリノテカンを併用したFOLFIRINOX療法時の薬物血中濃度、白血球、好中球、リンパ球の各血球数データを用いて、PK-TDモデリングを行ったところ、各薬物血中濃度の積に補正係数を組み合わせた関数を導入することによって、複数の抗がん剤を併用した場合の薬物暴露量と毒性との関連性を記述可能であった。また、このモデルに腫瘍中薬物濃度と腫瘍増殖抑制(PD)を記述したPK-PDモデルとを組み入れることで、フッ化ピリミジン系抗がん剤投与後の毒性の程度と抗腫瘍効果とを同時に推定でき得ることが示された。これらの結果から、PK-TDモデルとPK-PDモデルとを組み合わせることで、抗がん剤を併用した後の薬物血中濃度、治療効果および毒性の程度の時間的推移を同時推定することが可能であると示唆された。これらのモデル構築で得られた知見は、複数の薬物血中濃度をTDモデルに組み込む点が共通していることから、非血液毒性である悪心・嘔吐リスク予測システム構築にも応用可能であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、悪心・嘔吐の重篤度の評価には、カオリン摂取量を用いたパイカ行動を指標として研究を進めてきたが、安定した行動薬理データの取得に至っていないことから、制吐剤のPK-PDモデル構築に時間を要している。しかしながら、このことについては想定の範囲内であり、現在、抗がん剤の各薬物投与量と毒性発現との関連性について検討を進めている。また、ラットから得られる微量サンプルからの抗がん剤と制吐剤の薬物濃度測定について、7種類以上の化合物を同時定量する必要があることから測定法の開発にも時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
抗がん剤投与後の悪心・嘔吐作用の代替評価項目として、当初から計画に入れていた通常飼料の摂取量や体重、脳または消化管中セロトニン、ドパミン、サブスタンスP量などのバイオマーカーの測定を行う予定である。また、制吐剤と抗がん剤の投与後、ラットから得られる微量血液試料中の薬物濃度測定について、質量分析計を用いた新規同時定量法の構築を進める。制吐剤のPKおよびPDデータを採取し、PK-PDモデリングを進め、抗がん剤のPK-TDモデルと組み合わせることで、悪心・嘔吐予測システム構築を目指す。
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