研究課題/領域番号 |
21K06725
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
徳永 仁 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (60369171)
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研究分担者 |
吉武 重徳 九州保健福祉大学, 臨床心理学部, 教授 (10200974)
高村 徳人 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (20369169)
緒方 賢次 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (90509580)
興梠 靖幸 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (80908898)
園田 純一郎 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (00551293)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 処方提案 / 多剤服用防止 / モダリティー / 教育ソリューション / eラーニング教材 / 超音波画像装置 / ポケットエコー / シナリオ |
研究開始時の研究の概要 |
バーチャル患者をとおしてフィジカルアセスメントに関する学習体験が可能で、かつモダリティーで得られた結果を基に、多剤服用防止も含めた処方提案のシミュレーションが可能な症例体験システムを構築する。これにより薬剤師が実際に聴診音の聴取、バーチャル患者の発疹や浮腫などの画像および心電図やX線などのモダリティー結果を活用しながら、患者状態や最適な薬物治療法を熟考し、適切な処方提案のトレーニングが可能になる。
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研究実績の概要 |
我々は令和3年度においてモダリティーとして在宅において汎用されている超音波画像装置の一つであるポケットエコーを利用し、薬学生に対して膀胱ファントムを用いて膀胱内尿量測定の予備的試験を行った。その結果、尿量の少ない場合の評価は容易であったが、尿量の多い場合は難易度が上がる傾向がみられた。薬学生はポケットエコーに対してアンケート結果から高い興味を示していたことから、令和4年度は肺ファントムを用いて肺炎レベルも評価してもらった。その結果、肺炎レベルの正答率は高く、肺ファントムに対しての評価は可能であることが示された。アンケート結果からもエコーに対する興味度と必要性はともに上昇したことから、ハンズオンスタイルで体験させることが有用であることが示唆された。令和5年度は新たにエコー画像を利用したシナリオ作成を行い、患者シミュレータにプログラムを行った。具体的には、高熱となり膿性痰が増量し呼吸困難となった患者がレントゲン検査から胸水が確認され肺炎と診断された際に、アンピシリン/スルバクタム投与によりアナフィラキシーショック症状が現れ、アドレナリン投与により回復するシナリオである。このシナリオでは、まずモダリティーであるレントゲン画像を見ることを目的とした。また、同じくモダリティーとしてよく目にする心電図波形(正常、心室頻拍、心房細動、期外収縮、トルサード・ド・ポワンツ、心室細動、心静止、ST上昇、テント状T波、QT時間延長など)を解説することを目的としたインスタグラム教材も制作した。また、上記に示した基本的な心電図だけでなくフィジカルアセスメントを行う上で必須となるバイタルサインも加え、計63編制作した。各項目は10枚以内のスライドになるよう細分化した。これらの研究成果を活かして令和6年度は、モダリティーを活用した更なるシナリオ作成を行い、新たな教材などの教育ソリューションを構築したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度・5年度では、在宅においてモダリティーとして汎用されている超音波画像装置の一つであるポケットエコーを利用し、薬学生に対して膀胱ファントムと肺炎ファントムを用いて予備的試験を行った。その結果、薬学生はポケットエコーに対してアンケート結果から高い興味を示していたことから、学内実習においてもポケットエコーを導入した(ポケットエコーを用いたフィジカルアセスメント,実務実習事前学習Ⅰa,2023年4月18日@九州保健福祉大学)。そして令和5年度末においては、実際に現場で働く薬剤師に対してポケットエコーの使い方と各ファントムを使用した研修会を実施することができた(ポケットエコーを用いたフィジカルアセスメント研修会,延岡市西臼杵郡薬剤師会,2024年3月16日@九州保健福祉大学)。また、令和5年度ではレントゲン画像を利用したシナリオ作成を行い、患者シミュレータにプログラムを行ったが、これらのシナリオを用いて患者シミュレータを使用した代表的8疾患のワークショップも全国の薬剤師と薬学教育者を対象に開催することができた(薬効および副作用の確認について体験可能な薬学シミュレーション教育,第8回日本薬学教育学会大会,2023年8月20日@熊本市民会館)。なお、ここでのレントゲン画像は公開されている過去の医師国家試験の問題からのものを利用し、参考文献として示した。しかしながら、VR・AR技術を利用した教材制作については、費用の問題から高い壁となっている。よって専用のアプリケーション開発には到達できていない状況である。令和6年度は、引き続きVR・AR技術も利用して副作用発現・症状変化が再現可能なシステム構成を確立できるよう模索したい。さらに、専用ホームページまたはアプリケーションによる入力・体験・学習システムの構築を行いながら新たなeラーニング教材としての教育ソリューションを開発する。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度はVR・AR技術を利用してモダリティーを活用した副作用発現・症状変化が再現可能なシステムを確立する予定である。さらに、専用ホームページまたはアプリケーションによる入力・体験・学習システムの構築を行いながら新たなeラーニング教材としての教育ソリューションを開発する予定である。しかしながら、最大の問題点はVR・AR技術を利用した教材制作費である。当初予定していた制作会社がVR・AR事業から撤退し、現在、新たな制作会社を模索している現状である。見積もり段階ではあるが、想定を超える費用となっており研究遂行には高い壁となっている。そこで万が一、VR・AR技術を利用した教材制作が困難な状況が生じた際には、モニター画面にモダリティー画像が容易に表示可能な新たな患者シミュレータで体験できるシステムを確立する予定である。あるいは既存のエコーのトレーニングシステムを購入し、薬学的な使用法および教授法を構築することで新たな教育システムを確立する予定である。いすれの選択肢になった際には、モダリティーを活用したバーチャル患者のシナリオ作成・入力・検証が核となる。よって、研究分担者とともに様々なモダリティーを活用した処方提案・多剤服用防止のためのシナリオを作成する予定である。
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