研究課題/領域番号 |
21K06731
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
尾崎 紀之 金沢大学, 医学系, 教授 (40244371)
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研究分担者 |
奥田 洋明 金沢大学, 医学系, 准教授 (40453162)
堀 紀代美 金沢大学, 医学系, 助教 (40595443)
石川 達也 金沢大学, 医学系, 助教 (00750209)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 胃の痛覚過敏 / ストレス / 肥満細胞 / インターロイキン / セロトニン / 免疫組織化学 / メタクロマジー / トルイジンブルー / 機能性胃腸症 / サイトカイン / CRF2 / トルイジンブルー染色 / 内臓痛 / 副腎皮質刺激ホルモン放出因子 |
研究開始時の研究の概要 |
機能性胃腸症のメカニズムを明らかにするために、ストレスによって引き起こされる胃の痛覚過敏への、IL-6などの炎症性サイトカインの拮抗薬の効果を調べる。次に胃の痛覚過敏への関与が明らかとなった炎症性サイトカインの胃粘膜での発現やストレスによる変化、さらに、胃の痛覚に関わることが明らかとなっている副腎皮質刺激ホルモン放出因子受容体CRF2の発現との関係をウエスタンブロットやELISA、免疫組織化学で調べる。また、CRF2の内因性のリガンドの探索や、胃と腸とでの、ストレスによる胃の痛覚亢進のメカニズムを調べる。
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研究実績の概要 |
ラット胃壁におけるインターロイキンの供給源と考えられる肥満細胞について、我々のこれまでの実験で、胃の痛覚の惹き起こしている水回避ストレスの影響を調べた。粘膜の肥満細胞はRMCP2による免疫組織化学的に、粘膜下層・筋層の肥満細胞は、トルイジンブルー染色によるメタクロマジーで調べた。また大腸粘膜でも調べた。 1. ストレスでの肥満細胞の数の変化をしらべた。胃粘膜については、対照群で30.5+-0.5/mm、ストレス群で25.5+-3.2/mmであった。大腸粘膜では、対照群で24.1+-6.5、ストレス群では43.1+-26.6/mmであった。胃では、ストレスで有意な変化はみられず、大腸では、ストレスで増加する傾向だが有意ではなかった。また、粘膜下層・筋層の肥満細胞については、胃では、対照群で14.6+-1.6/mm、ストレス群では7.6+-1.3/mm、大腸では、対照群で0.3+-0.3/mm、ストレス群では、まったくみられなかった。我々が行っている条件の水回避ストレスは、胃壁、大腸壁における肥満細胞の数に、有意な影響はなかった。 2. 胃粘膜で肥満細胞とセロトニン陽性細胞の免疫二重染色を行った。肥満細胞の一部はセロトニンを含んでいたが、肥満細胞以外の細胞もセロトニンを含んでいることがわかった。 3. ストレスで、胃粘膜のセロトニン陽性細胞の数が変化するか調べた。胃粘膜でのセロトニン陽性細胞の数は、胃体部では、対照群37.6+-3.4/mm2、ストレス群32.5+-4.2/mm2であった。幽門洞では、対照群48.4+-5.4/mm2、ストレス群42.6+-2.4/mm2であった。セロトニン陽性細胞は、幽門洞の方が胃体部より多かったが、いずれも対照群とストレス群で有意な差はなく、我々の実験でのストレス条件では、胃粘膜でのセロトニン含有細胞の数に影響をあたえないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラット胃壁における肥満細胞の数は、我々が胃の痛覚亢進を見てきたストレス条件下では、期待したような有意な変化を見ることができなかった。今後は細胞数ではなく、発現量を定量的に調べる必要がある。また、免疫組織化学的にインターロイキン陽性細胞を調べる実験を進めているが、定量的な評価ができるほど、安定しておらず、引き続き条件設定が必要である。また、胃壁の肥満細胞について、RMCP2で陽性になる細胞と、トルイジンブルー染色のメタクロマジーで同定できる細胞の違いについて、引き続き詳細な検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
ラット胃壁における肥満細胞が発現するインターロイキン陽性細胞の分布や数を明確にするために、免疫組織化学を進める。そしてストレスによる定量的な変化をみるために、ウェスタンブロットを行う。RMCP2陽性の肥満細胞とトルイジンブルー染色のメタクロマジーで同定できる肥満細胞について、電顕観察を試み、その性状の違いをあきらかにする。
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