研究課題/領域番号 |
21K06733
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
大崎 雄樹 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00378027)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脂肪滴 / 中性脂質 / PML / 核膜変形 / 核内構造体 / 核膜形態 / 液晶化 |
研究開始時の研究の概要 |
脂肪滴は小胞体膜で合成された中性脂質をリン脂質一重膜が被って形成される、細胞質オルガネラである。一方で肝由来細胞、及び一部の非肝由来細胞では核内にも豊富に存在し、核内構造体のひとつPML小体と会合する。 本研究では(1)内核膜からの脂肪滴直接形成という、新規の核内脂肪滴形成機構の探索、(2)膜を持つ脂肪滴がPML小体など他の非膜性核内構造体の生理機能に及ぼす影響、(3)細胞質、核内脂肪滴の内部脂質の組成変化・液晶化が、実際に脂肪滴表層脂質・タンパク質の局在と活性に及ぼす影響の3項目の検証を通じて核内脂肪滴の新たな生理的意義を立証する。
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研究成果の概要 |
中性脂質をリン脂質一重膜が覆う構造である脂肪滴は、通常小胞体膜から形成される細胞質オルガネラであるが、核内にも存在する。我々は肝由来細胞とそれ以外の細胞で異なる核内脂肪滴形成機構を見出した。核内脂肪滴は肝由来細胞ではホスファチジルコリン合成を活性化させ小胞体ストレスを軽減する装置として働くことを示した。一方グリオーマ由来細胞において脂肪滴-PML複合体が癌形成促進因子の転写制御に関与することを見出した。 他方、実際に肝疾患疑い患者の肝細胞内で高頻度に核内脂肪滴が頻繁に形成されることを見出した。さらに核内脂肪滴形成および内核膜陥入に影響を及ぼす新たな分子ファミリーを同定した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
半世紀以上謎の構造であった核内脂肪滴の形成機構と複数の生理的意義を明らかにした。特異な疎水性構造であるが、表面にリン脂質一重膜を持つ脂肪滴は、従来の膜を持たない核内構造体(PML小体、核小体など)に新たな機能を付加する可能性があり、新たな創薬標的の基礎研究拡大が期待される。さらに実際の人肝疾患患者で高頻度に核内脂肪滴が形成されており、従来の脂肪肝指標である細胞質脂肪滴蓄積と必ずしも相関しなかったことからも、特定の肝疾患に対して新たな特徴として定義づけられれば、原因不明の肝炎等の鑑別診断、治療の一助となる可能性が高い。
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