研究課題
基盤研究(C)
内分泌顆粒は内分泌細胞に特徴的な細胞内小器官であり、内分泌/神経内分泌分化の診断マーカーでもあるが、その形成メカニズムは未解明である。我々は予備実験から、通常内分泌顆粒を持たない"ある種の"非神経内分泌細胞に内分泌顆粒の形成を誘導する条件を明らかにした。その条件とは、「内分泌顆粒形成の誘導因子」「REST遺伝子の抑制」「内分泌顆粒内容物の発現」である。本研究はこれをさらに発展させ、"どのような細胞にも"実験的に内分泌顆粒を誘導する普遍的な条件、すなわち内分泌顆粒形成メカニズムの全貌を明らかにすることを目的とする。
内分泌顆粒(endicrine secretory granule, ESG)は内分泌細胞に特徴的な細胞内小器官であり、その形成異常は種々の疾患に寄与することが知られる。しかしこれまで、ESGの形成メカニズムは未解明であった。本研究では、ESGを有さない非内分細胞株H1299を用いて解析を行い、ESGの形成に重要な三つの要素を明らかにした。すなわち、REST遺伝子の低発現状態、PROX1遺伝子の高発現状態、そしてESGに内包される物質の存在である。H1299細胞に対して遺伝子編集・遺伝子導入操作を行い、ESG形成に重要な三要素を満たすことで、ESGを人為的に形成させることに成功した。
ESGは内分泌細胞に特異的な細胞内小器官であり、内分泌分化を示す腫瘍の診断マーカーとして用いられている。本研究によりESGの形成メカニズムが明らかにされたことにより、ESGを診断マーカーとして利用する根拠がより明確にされたと考えられる。またESGの形成異常は糖尿病やパーキンソン病といった種々の疾患で認められることが報告されている。本研究によりESGの形成に重要な諸要因が明らかにされたことから、今後はこの知見を元に、ESGの形成異常が関与する疾患の病態解明が進むことが期待される。
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Journal of molecular histology
巻: 10 号: 2 ページ: 437-448
10.1007/s10735-021-10055-5