研究課題/領域番号 |
21K06744
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
渡部 功一 久留米大学, 医学部, 教授 (40309852)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 顔面軟部組織 / 顔面スペース / 表情筋 / 線維構造 / retaining ligament / SMAS / STD法 / 顔面脂肪コンパートメント / 顔面神経麻痺 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、主として当研究室で考案した顔面軟部組織剖出方法を用いる 。顔面を水平断、矢状断、前額断に切断した上で解剖を行い、SMAS(Superficial Musculo-Aponeurotic System)を構成する筋膜や表情筋、骨膜などの深部組織と真皮を結合するretaining ligament、皮下脂肪内のretinacula cutisおよび、これらの三次元的な連結を肉眼的に観察する。また、詳細な観察が必要な部位については薄切標本による連続切片を作成して三次元的に再構成を行い、線維の走行および周囲組織との関連性を評価する。これらの結果を基に既存の顔面手術を評価し改善発展を目指す。
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研究実績の概要 |
顔面軟部組織の線維構造について肉眼解剖学的および顕微解剖学的に解析を進めている。肉眼解剖は通常の層ごとの剥離を行い解剖と我々が開発した、断面(水平断面および前頭断面、矢状断面)を作成した後軟部組織を伸展させて脂肪を除去して観察するstretched tissue dissection法を併用して行っている。顕微鏡的観察は、Stretched tissue dissection法の断面作成時に隣接する部位の切片を作成することで、ほぼ同部位の肉眼および顕微解剖的な観察を可能とした。 顔面の表情筋には、他の部位に見られない特徴的な構造があり、特に眼輪筋や広頚筋などでは、骨膜から起こった線維が筋を貫いて真皮に至る部位が筋腹で観察された。これを筋の起始または停止と呼ぶかは今後更なる検討が必要であると考えられる。 また、軟部組織中存在する疎性結合組織のスペースについても新たな知見が得られた。特にこのスペースは浅層の表情筋と深層の表情筋では位置が異なっており、浅層の表情筋では筋の深層にスペースが存在し、深層の表情筋では筋の浅層にスペースが存在する事がわかった。これは、表情筋が収縮した際、表情筋によって動かされる部位と動かされない部位があることが明らかとなり、顔面表情の動的な解析にとって重要な知見であると考える。この知見の一部は2023年度米国臨床解剖学会および2023年度日本形成外科学会基礎学術集会で発表を行った。また、同内容については、今後論文にしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
顔面の軟部組織線維構造解析を肉眼解剖学的および顕微解剖学的に進めている。学会発表にて成果を報告しており、進捗状況はおおむね順調であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
顔面は広大な領域があり、それらを丁寧に所見を採取する必要があるために、現在行っている肉眼解剖学的および顕微解剖学的研究を継続する。 さらに、線維層の構成の違いを検討するために、SMASなどの線維層を採取して透明化し多光子顕微鏡による観察を追加してより詳細な観察を行いたい。
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