研究課題/領域番号 |
21K06752
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
謝 敏カク 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (40444210)
|
研究分担者 |
松崎 秀夫 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (00334970)
村田 航志 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10631913)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | ドーパミン / D1R / D2R / 運動量 / Dopamine / 統合失調症 / ドーパミン受容体 / NSF |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、独自に作製したドーパミンD1受容体を発現する神経細胞特異的なNSFコンディショナルノックアウトマウスマウス(D1R-NSFcKO)の行動・薬理・病理解析による検証を進め、統合失調症モデル動物として成立するかどうかを検討する。ついで前頭前皮質病理と線条体病理との因果関係を明らかにし、脳内D1Rの発現低下が統合失調症の治療標的となり得るかを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
統合失調症の病態に関する「修正ドーパミン仮説」は、陽性症状(線条体のドーパミン過活動)と陰性症状や認知障害(前頭前皮質の低活動)の両方を説明できるのが特徴であるが、前頭前皮質と線条体の病理の因果関係が不明である。統合失調症患者の死後脳においてN ethylmaleimide-sensitive fusion protein(NSF)発現が低下する報告から、我々は独自に「統合失調症ではドーパミンD1受容体(D1R)の膜局在化に異変が起きているために諸症状が現れる」との仮説をたて、仮説の検証のためにD1Rを発現する神経細胞に特異的なNSFコンディショナルノックアウトマウス(D1R-NSFcKO)を開発して、このマウスが新たな統合失調症モデル動物になる可能性を見出した。さらに、感覚運動系機能評価である驚愕反応および先行刺激による抑制反応はコントロールマウスに比べて、D1R-NSFcKOマウスでは両方とも有意に低いことを見出した。D1R-NSFcKOマウスではD2R拮抗薬であるスルピリド投与後、D1R-NSFcKOマウスの運動量が有意に減少したことから今年度はその他の受容体を検討した。D1R拮抗薬であるSCH-23390を投与後、D1R-NSFcKOマウスの運動量も減少したが、D1RアンゴニストであるSKF-83959を投与後、D1R-NSFcKOマウスの運動量が増加した。D1R-NSFcKOマウスではD1RおよびD2Rのバランスの異常によって運動量の変化に関与すると考えられた。さらに、ドーパミンは脳内ドーパミン定量のためHPLC-ECD 分析を行った結果、D1R-NSFcKO マウスでは脳内線条体でのドーパミン量が有意に増加したが、D2R-NSFcKO マウスでは有意に減少が認められた。このことからNSFはD1RおよびD2Rにおける作用機構が異なると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)D1R-NSFcKOへD1RまたはD2Rのアンゴニストおよび拮抗薬の投与効果を確認した。 D2R拮抗薬であるスルピリドを投与後、D1R-NSFcKOマウスの運動量も減少し。D1R拮抗薬であるSCH-23390を投与後、D1R-NSFcKOマウスの運動量も減少したが、D1RアンゴニストであるSKF-83959を投与後、D1R-NSFcKOマウスの運動量が増加した。 2)D2Rを発現する神経細胞特異的なコンディショナルノックアウト(D2R-NSFcKO)マウス作製した。このD2R-NSFcKOマウスを用いて脳内線条体でのドーパミン量を測定した。
|
今後の研究の推進方策 |
1)D2R-NSFcKOマウスへの抗精神病薬の投与効果の確認 抗精神病薬(非定型:クロザピン;10 mg/kg、リスペリドン;0.1 mg/kgおよび定型:ハロペリドール;0.1 mg/kg)を1週間から4週間投与し、それぞれの投与前後に行動評価を行う。行動評価終了後に脳を剖出して免疫染色を行い、前頭前皮質・線条体・海馬でD1R、D2R、DARPP32、GABA、DAT、TH神経細胞の計測を行い、抗精神病薬の効果を評価する。 このマウスの脳内D1R/D2Rの発現バランスや行動異常の有無を評価する。 2)論文を投稿準備する。
|