研究課題/領域番号 |
21K06768
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
尾松 万里子 滋賀医科大学, 医学部, 特別准教授 (80161397)
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研究分担者 |
小嶋 亜希子 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50447877)
星野 真介 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70747576)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 非定型心筋細胞 / 自動性 / ACMs / multinuclear cell / cardiomyocyte / 多核 / 核形不整 / 心筋細胞 / 心筋細胞サブタイプ / 核分裂異常 / 心筋前駆細胞 / 多核形成 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは,マウスの心臓から拍動する新規の細胞を発見し,「非定型心筋細胞(Atypically-shaped cardiomyocytes, ACMs)」と命名した。ACMsは,心筋前駆細胞の一種として,胎仔心筋細胞の特徴を維持しながら終生にわたって心臓に存在することを明らかにした。本研究は,ACMsに特徴的な多核に着目し,その形成のメカニズムとその調節機構を詳細に検討することにより,この細胞の生理的意義を明らかにすることを目的とする。さらに,ACMsが通常の細胞とは異なる形態の核をもつことの意味は,心血管系の分野を超えて,胎仔由来細胞の生理的な役割の解明につながる可能性がある。
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研究実績の概要 |
申請者らは,マウスの心臓を酵素処理し、心室筋組織から得られた細胞群の中に拍動する新規の細胞を発見し「非定型心筋細胞(Atypically-shaped cardiomyocytes, ACMs)」と命名した。この細胞の機能解析を進めてきた結果,ACMsは,心室筋、心房筋、洞房結節細胞および胎児心筋細胞の特徴を併せ持つ心筋前駆細胞の一種ではないかと考えられた。しかし、ACMsは幹細胞に特徴的なタンパク質の発現はなく、培養中に特別の刺激を必要とせずに拍動細胞に成長することから、既に心筋細胞への分化段階は超えており、幹細胞・前駆細胞ではなく、心筋細胞の亜集団に属する細胞である可能性が高いことがわかった。即ち、ACMsは胎仔心筋細胞の特徴を維持しながら終生にわたって心臓に存在することを明らかにした。ACMsの最大の特徴の一つは多核であり,不規則な核分裂により複数組の核クラスタ-や核形不整とよばれる核の形態異常を形成することである。ACMsに特徴的な多核に着目し,その形成のメカニズムとその調節機構を詳細に検討したところ、細胞質分離を伴わない細胞核分裂が起こっていることを確認した。この現象は、出生後数日間の間のマウス心室筋細胞に観察されるものであり、成体マウスの心臓では、通常、2核あるいは3核の心室筋細胞が存在する過程と同様であると考えられた。しかし、正常の心室筋細胞とは異なり、核膜形成はほぼ正常であるにも関わらず,分離が不十分である核形不整が非常に多い。これらのことから、ACMsは心室筋細胞として成長することを停止させられている亜集団に属するのではないかと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ACMsの多核形成の過程について、心室筋細胞と同様であるが不完全に終了するという結果を得た。また、ACMsを標識し、トラッキングできる方法を見つけたが、詳細な分子基盤はまだ不明である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究において確認したACMsの標識法を利用し、傷害心などにおけるACMsの動態を詳細に調べることを計画している。
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