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神経内分泌機能間の相互作用の基盤となるNPFF受容体神経ネットワーク解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K06775
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分48020:生理学関連
研究機関日本医科大学

研究代表者

肥後 心平  日本医科大学, 医学部, 准教授 (50623922)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード神経内分泌 / neuropeptide ff / Neuropeptide FF / 膜受容体 / RF-amide / 室傍核
研究開始時の研究の概要

生殖・摂食などの機能は, 複数のホルモンを介して神経内分泌系によって調節されている. 低栄養状態では生殖能力が低下するなど, 神経内分泌の機能は互いに影響を与えている. この相互調節は, 各神経内分泌神経細胞のグループにあるNPFF受容体により相互に情報を伝達していることによる. しかし各神経内分泌神経細胞のグループのNPFF受容体が, 脳のどのような場所からどのような情報を受け取っているのかはあまりわかっていない. この研究では, NPFF受容体がどの脳部位から情報を受取り, それによってどのような作用が生じるのかを解明する.

研究実績の概要

生殖・摂食などの機能は, 複数のホルモンを介して神経内分泌系によって調節されている. 低栄養状態では生殖能力が低下するなど, 神経内分泌の機能は互いに影響を与えている. この相互調節の一部は, 複数の神経内分泌ペプチドを受容するNPFF受容体(NPFFR)を介して各神経内分泌神経が相互に情報伝達していることによることが申請者の研究からわかってきた. しかしNPFF受容体発現神経が, 脳のどのような場所からどのような情報を受け取っているかは不明な点が多い. そのため, 本研究は, NPFF受容体がどの脳部位から情報を受取り, どのような作用が生じるのかを解明することを目的としている. 本研究では, 免疫染色法により成獣ラットのNPFFRのリガンドであるNPFF, PrRP, Kisspepitn, RFRP1/3, 26RFa を含む神経線維投射を解析し, どのペプチドがどのNPFFR発現神経に投射しているかの全脳マップを作成している. NPFFRの主要発現神経である視床下部室傍核のCRF神経では, PrRP, 26RFaの線維投射が見られたが生殖に関与するKisspeptinの投射は少なかった. 各リガンドの機能解析を目的に, NPFFR発現神経近傍へのリガンド注入後に神経活性をc-fos mRNA発現をin situ hybridizationにより解析するため, その条件を検討し, 一部を原著論文に発表した(Kamei et al, Acta Histochem Cytochem. 2022). また, c-fos解析およびNPFFRの共発現解析のために新規の高感度in situ hybridization法を検討し, その過程で得られた知見を総説論文として公開した(Higo et al, Acta Histochem Cytochem. 2023).

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究実績の概要にあるとおり, 原著論文・総説論文の発表および, リガンド投射実験に関するマッピング研究については一定の進捗が得られていると考えている. しかしながら, 2022年度末から, リガンドによる神経活性を調べるためのc-Fos/NPFFR共発現解析において, c-Fosの単染色では十分な染色強度が得られるものの, ごく低発現であるNPFFRとの同時染色に関しては通常のin situ hybridizationでは染色が難しいことがわかった. そのため, 2023年度は高感度かつ多重染色が容易であると報告されている高感度in situ hybridizationの導入に着手している. 検出感度の面で手法的な改善は進んでいるものの, まだごく低発現であるNPFF受容体を安定して解析できる状態に至っておらず, 検出系の確立の面で遅れが生じている. また, 当初の研究計画においては, 2021年度-2022年度前半にかけて逆行性トレーシング用AAVもしくは一般逆行性トレーシングの条件検討を行う予定であったが試薬入手性の問題等から2021年度からの遅れがあり, AAVの作成が2022年度後半となった. そのため逆行性トレーシングに関しては当初予定から後方にずれ込んでしまっている.

今後の研究の推進方策

研究進展の遅れから, 当初予定の最終年度である2023年度から1年の延長を行い, 以下の2点を中心に解析・論文執筆を行う.
1)新規in situ hybridization法の導入とNPFFR機能解析. NPFFRとc-Fosの2重検出を可能にするための手法を確立する. 現在までの条件検討で, 高感度な検出手法を複数種類試し, そのうちin situ HCR法を用いることで, 一定レベルの検出手法改善ができることがわかった. そのため, in situ HCR法を軸に手法改善を行う予定である. その後, 申請者の既報論文(Higo et al,Histochem Cell Biol, 2021)で明らかとなったNPFFR発現領域に,リガンド注入し神経活性化解析を行う.
2)逆行性トレーシング. AAVもしくは一般逆行性トレーシングの条件を確定し, 最もNPFFR発現量が大きい視床下部室傍核CRFニューロンに対する投射解析を行う.
当初の計画では, リガンドの投射解析・c-Fos による生理活性解析・投射解析の結果を受けて, 哺乳動物において最も神経内分泌系が大きく変化する性成熟期前後(ヒトにおける思春期)での変化を解析することを計画していた. しかし遅れが生じているため, 重要度を鑑みて, 性成熟期前後の解析を含めずに, 成熟個体のNPFFR発現細胞による神経内分泌調節系の神経ネットワークを詳細に記述することを優先し, 論文化すべきであると考えている.

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Recent Advances in High-sensitivity <i>In Situ</i> Hybridization and Costs and Benefits to Consider When Employing These Methods2023

    • 著者名/発表者名
      Higo Shimpei、Ishii Hirotaka、Ozawa Hitoshi
    • 雑誌名

      Acta Histochemica et Cytochemica

      巻: 56 号: 3 ページ: 49-54

    • DOI

      10.1267/ahc.23-00024

    • ISSN
      0044-5991, 1347-5800
    • 年月日
      2023-06-27
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 妊娠,授乳と新しい生殖神経内分泌制御機構の連関2023

    • 著者名/発表者名
      小澤 一史、肥後 心平
    • 雑誌名

      CLINICAL NEUROSCIENCE

      巻: 41(7) ページ: 881-883

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Kisspeptin受容体発現と機能的意義2023

    • 著者名/発表者名
      肥後 心平、小澤 一史
    • 雑誌名

      CLINICAL NEUROSCIENCE

      巻: 41(9) ページ: 1116-1118

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Identification of Brain Regions Activated by Sevoflurane and Propofol and Regional Changes in Gene Expression2022

    • 著者名/発表者名
      Kamei N, Higo S, Mizuno T, Mori K, Sakamoto A, Ozawa H.
    • 雑誌名

      Acta Histochemica et Cytochemica

      巻: 55 号: 1 ページ: 37-46

    • DOI

      10.1267/ahc.21-00091

    • NAID

      130008164503

    • ISSN
      0044-5991, 1347-5800
    • 年月日
      2022-02-26
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書 2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ラット・マウス全脳におけるレプチン受容体の発現解析とKisspeptin神経との共発現解析2024

    • 著者名/発表者名
      肥後 心平、石井 寛高、小澤 一史
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会総会全国学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 受容体解析により明らかになった生殖内分泌系 Kisspeptin ニューロンと他の神経内分泌ニューロン間の相互作用2023

    • 著者名/発表者名
      肥後心平
    • 学会等名
      日本行動神経内分泌研究会 JSBN 2023 年 春の会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] RNAscopeを用いた高感度 in situ hybridization2022

    • 著者名/発表者名
      肥後心平
    • 学会等名
      第 63 回日本組織細胞化学会総会・学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 全身麻酔薬セボフルランとプロポフォールの標的脳領域の同定および遺伝子発現変動解 析2022

    • 著者名/発表者名
      亀井信孝、肥後心平、水野友喜、坂本篤裕、小澤一史
    • 学会等名
      第127回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 全身麻酔がラットの概日リズムと視交叉上核における時計遺伝子発現に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      水野友喜、肥後心平、亀井信孝、坂本篤裕、小澤一史
    • 学会等名
      第127回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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