研究課題/領域番号 |
21K06777
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
籠田 智美 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (00291807)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | メタボリックシンドローム / 血管周囲脂肪組織 / 腎動脈 / 腎機能 / アペリン / アンジオテンシンⅡ / 動脈拡張能 / アンジオテンシン II 1型受容体 / 血管内皮 / 一酸化窒素 |
研究開始時の研究の概要 |
メタボリックシンドローム (MetS)における腎機能障害の発症予防・進行抑制のための血管周囲脂肪組織(PVAT)をターゲットとした新たな戦略を見出すことを目的とし、補助事業期間に以下3つの研究を行う。 [研究1] 腎動脈PVATの動脈拡張代償効果の変動時期と腎機能低下の発症時期や程度との関連性を明らかにする。 [研究2] PVAT動脈拡張機能の機序(血管内皮とPVATのクロストーク)とPVAT機能の変動に関わる因子を探索する。 [研究3] MetSに伴い生じる腎動脈PVAT動脈拡張代償効果の破綻を防止する・治療するために有効な方法を探索する。
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研究実績の概要 |
メタボリックシンドローム (MetS)は、内臓脂肪型肥満を基盤として糖や脂質代謝の異常、血圧高値が併発する病態である。MetSでは、非MetSに比べ心血管死のリスクが2から3倍高く、体脂肪量の増加は心血管疾患による死亡リスクを1.67倍高める。その原因として、血管機能に及ぼすMetSの諸症状の影響とともに内臓脂肪の影響が注目されている。一方、成人8人に1人とされる慢性腎臓病の発症や進展は、MetSと関連が深いとされており、MetSでは非MetSに比べ慢性腎臓病の発症リスクが約2倍高い。腎臓は、ある一定のレベルまで悪くなると、自然に治ることがないため、腎機能障害の発症や進行を適切に予防・治療する必要がある。 一方、血管周囲の脂肪組織 (PVAT) が血管抵抗性を調節していることが明らかになりつつある。我々はこれまでに、MetSの進行に伴い生じる腸間膜動脈の拡張能低下を、PVATが代償的に補完していることを見出している。このことから、腎動脈PVATの代償効果が破綻すると、腎機能低下を引き起こす要因となると考えた。そこで、「PVATと血管内皮細胞のクロストーク」を視点とし、腎動脈拡張能とPVATの代償効果との関連を検討することとした。 本年度は、2種のMetSモデルラット(23週齢)を用いて、腎動脈PVATの機能変化と腎機能変化について比較検討した。その結果、雌性SHRcpラットでのみ、動脈抵抗性調節機能が観察された。雌性SHRcpラットの腎動脈PVATは、雄性SHRcpラットおよび雄雌SHRSP.ZFラットに比べ、低いアンギオテンシンⅡシグナル活性と高いアペリンmRNA量が維持されていること、また、PVAT機能は推算糸球体濾過量や尿蛋白と相関関係にあることを認めた。以上、腎動脈PVATによる動脈抵抗性調節の保持が、腎障害の発症防止に寄与している可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、本研究の主目的の1つである以下のことを明らかにできた。すなわち、メタボリックシンドローム (MetS)における腎動脈周囲の脂肪組織 (PVAT) の血管拡張補完効果に関与する因子としてアペリン、PVAT効果の変動に関与する因子としてアンギオテンシンⅡの存在を明らかにした。さらに、腎機能の指標である推算糸球体濾過量や尿蛋白と腎動脈PVAT機能変化とが関連することを明らかにした。 これらの研究成果を、学術学会および学術論文にて報告した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は当初の計画通りに実験を進め、得られた成果を国内外の学術学会や学術雑誌にて報告することができた。今後も計画に沿って進めていく予定である。 次年度は本研究の最終年度であり、これまでの研究成果を基盤として、腎動脈周囲脂肪組織(PVAT)において、「動脈拡張増強効果に関与するアペリン」と「PVAT効果の変動に関与しているであろうアンジオテンシン II 1型受容体(AT1R)シグナル活性」との関連性を明らかにする。また、得られた研究成果は、国内外の学術学会にて発表し、論文化していきたい。
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