研究課題/領域番号 |
21K06778
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
沼田 かお理 (佐藤かお理) 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (60614196)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | バソプレシンニューロン / 浸透圧 / イオンチャネル / 低浸透圧 / バソプレシン |
研究開始時の研究の概要 |
下垂体性抗利尿ホルモン分泌異常症に対する原因療法を開発するためには、血漿浸透圧の増減によって起こる血中へのバソプレシン分泌調節メカニズムを明確にし、バソプレシン分泌調節メカニズムが働くためのスイッチとなり、治療薬のターゲットとなりうるイオンチャネルを同定することが必要である。 そこで本研究では、バソプレシンニューロンと同じ大細胞性ニューロン群に属するオキシトシンニューロンと視覚的に峻別できるGFP蛍光陽性バソプレシンニューロンを用いて、血漿浸透圧の増減を検知する浸透圧検知性イオンチャネル分子実体の同定と機能解析に取り組む。
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研究実績の概要 |
下垂体性ADH分泌異常症に対する治療法は、現在、対症療法のみが行われているが、この治療法は、飲水量の制限など生活において通常のQOLが低下することがしばしばである。 患者のQOLを維持しながら治療を行うためには原因療法を開発することが必要である。原因療法を開発するにあたり、血漿浸透圧の増減によって起こる血中へのバソプレシン分泌調節メカニズムを明確にし、バソプレシン分泌調節メカニズムが働くためのスイッチとなり、治療薬のターゲットとなりうるイオンチャネルを同定する必要がある。本研究課題では、『バソプレシンニューロンの浸透圧検知性イオンチャネルの同定と機能解析』を目的として研究を進めている。 低浸透圧を検知するClチャネルVSORは、2014年にLRRC8AをコアとしたLRRC8ファミリーの組合せにより形成されることが報告された(Voss et al., 2014 Science; Qui et al., 2014 Cell)。しかし、その組み合わせについては、現在も不明なままである。本研究では、5種類あるLRRC8ファミリーの遺伝子をノックダウン、または過剰発現した細胞を用いて、VSORへの影響を検討した。その結果、LRRC8Aだけでなく、LRRC8Dにおいても、低浸透圧条件下における容積調節に重要な役割を担っていることを明らかにした。 細胞の容積が減少し、水が排出される際、水と同時に、細胞内に多く含まれているKClが同時に排出されることが知られている。現在服用されている漢方薬には、水分泌を促すという謳い文句で販売されているものが数多くあるが、その作用の詳細は不明である。本研究では、水分泌を促す防己黄耆湯を用いてその作用メカニズムを研究した。研究の結果、防己黄耆湯が、低浸透圧性細胞膨張後に容積回復のために活性化するClチャネルとKチャネルを活性化させることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況がおおむね順調に進展している理由は以下のようなものが考えられる。 1.研究を進めるにあたり、過去の研究データや文献等を事前に調べ、実験の手順を確立することが出来た。 2.研究に必要な実験手法を実験開始までに習得することが出来た。 3.研究に必要な機器や材料を整えることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究は、以下の3つの内容について進めていきたい。
1. 前年度と同様に、低浸透圧を検知するClチャネルを同定すべく、詳細について検討する。 2. バソプレシンニューロンの浸透圧を検知するイオンチャネルについて、Clチャネル以外のイオンチャネルについて同定を進める。 3. 浸透圧の変化により、タウリンなど、様々な物質が脳内に分泌されていることが報告されている。これらの物質が、バソプレシンニューロン、そして、バソプレシンニューロンに発現する浸透検知性イオンチャネルに与える影響について検討する。
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