研究課題/領域番号 |
21K06785
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
渡辺 賢 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (60191798)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 平滑筋 / 収縮タンパク質 / プロテインホスファターゼ2A / 弛緩過程 / 収縮 / ATP / ミオシン / アクチン |
研究開始時の研究の概要 |
プロテインホスファターゼ2A(PP2A)は、平滑筋収縮機構の最下流である収縮タンパク質アクチン・ミオシン相互作用に直接働き平滑筋収縮を増強・維持する。その作用点はミオシン軽鎖リン酸化酵素(MLCK)活性促進、及びミオシン本体又はアクチン結合タンパク質の構造・機能調節である可能性が高い。そこで本研究では、生理学的・構造生物学的・分子生物学的手法を用いて統合的な解析を行い、平滑筋収縮タンパク質機能に対するPP2A調節機構を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
2022年度は2021年度成果を発展させ、平滑筋収縮タンパク質機能に対するプロテインホスファターゼ2Aの役割を更に明らかにするため、細胞膜を界面活性剤βエスシン処理により破壊したスキンド頸動脈および盲腸紐標本の力学応答を詳細に解析した。特に、Caイオン活性化収縮後のCaイオン除去により惹起される弛緩過程の検討を行い、特異的プロテインホスファターゼ2A阻害薬rubratoxin Aが10 μM/L以上の濃度でこの弛緩過程を有意に促進することを見出した。平滑筋の比較的ゆっくりした弛緩過程は、ミオシン軽鎖リン酸化に依存しない張力保持過程"latch"を反映していると考えられており、この仮説に基づいて弛緩過程の回帰分析を行った結果、rubratoxin Aはlatch形成阻害とその解離を促進することが明らかになった。従来、プロテインホスファターゼ2Aは平滑筋においてはミオシン軽鎖キナーゼ活性を上昇させることによりミオシン軽鎖リン酸化に依存する収縮を増強するとされてきたが、本研究結果からプロテインホスファターゼ2Aはミオシン軽鎖リン酸化に依存しない収縮張力保持機構にも働き、平滑筋のトーヌス保持に寄与することが示唆された。この新たなプロテインホスファターゼ2Aが寄与する平滑筋収縮調節機構の全容解明を目指して、収縮タンパク質リン酸化機構に対するプロテインホスファターゼ2A寄与を詳細に検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、プロテインホスファターゼ2Aが関与する新たな平滑筋収縮制御機構を明らかにすることができた。又、その結果を踏まえて2023年8月に開催される第65回日本平滑筋学会総会で本研究結果を報告し、平滑筋研究の第一人者からレビューを受けることが確定しており、おおむね研究は順調に進展していると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究結果を第65回日本平滑筋学会総会で発表しレビューを受ける。そのフィードバックを基に、国際学術誌に本研究結果を投稿・発表する予定である。更に、本研究結果から明らかになったミオシン軽鎖リン酸化に依存しない収縮張力保持に対するプロテインホスファターゼ2Aの細胞内メカニズムを明らかにするため、薬理学実験および分子生物学実験を展開する。岡山理科大学、高崎健康福祉大学等の分子生物学者との共同研究を実施することを計画している。
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