研究課題/領域番号 |
21K06791
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
松岡 浩史 福山大学, 薬学部, 准教授 (00527533)
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研究分担者 |
道原 明宏 福山大学, 薬学部, 教授 (10309635)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 動脈硬化 / 脂質代謝 / 核内受容体 / レチノイン酸受容体関連オーファン受容体 / RORα / トランスクリプトーム / アゴニスト / コレステロール |
研究開始時の研究の概要 |
動脈硬化の薬物治療において、脂質降下薬が臨床現場で応用されている。しかし、これら薬剤は脂質降下作用により予防には効果的であるが、すでに蓄積された脂質を除去する効果は十分でなく、新たな治療薬の開発が必要である。本研究では、動脈硬化抑制に関わるRORα核内受容体の制御ネットワークの全容を明らかにするとともに、その制御系の活性化に対するRORαアゴニストの効果についても評価することで、動脈硬化治療を目指した標的分子の同定および動脈硬化に対する効果的な治療薬の開発を目的とする。それにより、動脈硬化の原因となる組織中の蓄積脂質を除去する新たな治療戦略の基盤構築が期待される。
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研究実績の概要 |
動脈硬化の薬物治療において、脂質降下薬が臨床現場で応用されている。しかし、これら薬剤は脂質降下作用により予防には効果的であるが、すでに蓄積された脂質を除去する効果は十分でなく、新たな治療薬の開発が必要である。以前、我々は動脈硬化抑制に関わるRORα核内受容体の応答配列(RORE)のゲノムワイド検索を足掛かりとして、RORαの結合性と応答性を合わせ持つROREを有する標的遺伝子の同定に成功した。その標的遺伝子として、血中糖濃度の調節酵素PCK1、細胞接着分子CLDND1、蓄積コレステロールの除去酵素NCEH1、酸化ステロールの代謝酵素CYP39A1を得てきた。しかし、RORαを通じた制御ネットワークの全容は不明である。 本研究では、RORαの制御ネットワークの全容を明らかにするとともに、その制御系の活性化に対するRORαアゴニストの効果についても評価することで、動脈硬化治療を目指した標的分子の同定および動脈硬化に対する効果的な治療薬の開発を目的とする。 1.RORαの標的遺伝子群を選出するために、RORα機能欠失細胞を作成し、逆遺伝学的探索を試みた。CRISPR-Cas9システムによるPITCh-KIKO法に準じて、RORα内に薬剤耐性および緑色蛍光遺伝子カセットが挿入されるよう設計した。現在、RORα機能欠失細胞を選択中である。 2.RORαを活性化させるアゴニストの薬理効果を評価するために、RORαアゴニストの処理細胞を用いて標的遺伝子群の発現誘導を解析した。さらに、RORαアゴニストによる活性化能について、レポーターアッセイによる評価系を確立した。 3.RORα標的遺伝子のうちCLDND1遺伝子の発現亢進メカニズムを明らかにするために、欠失レポーターアッセイによりエンハンサー領域の同定を試みた。CLDND1プロモーター近傍に位置するエンハンサーおよび、その転写因子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の成果として、以下の結果を得た。 1.RORα標的遺伝子であるCLDND1について、その発現誘導に関わる転写因子を同定した。 2.CLDND1遺伝子プロモーターに作用するELK1コンセンサス配列を見出した。 3.血管内皮細胞においてELK1活性化はCLDND1発現を増加させた。 4.血管内皮細胞においてELK1リン酸化抑制はCLDND1発現を減少させた。 また、これまでの成果を総説としてまとめ報告した。さらに日本薬学会中国四国支部奨励賞を受賞した。【招待総説】Identification of the RORα transcriptional network contributes to the search for therapeutic targets in atherosclerosis. Hiroshi Matsuoka, and Akihiro Michihara. Biological and Pharmaceutical Bulletin. 44(11) 1607-1616 (2021) .【奨励賞受賞講演】動脈硬化抑制に関与するレチノイド関連オーファン受容体の標的遺伝子群の探索.松岡浩史.第60回日本薬学会中国四国支部学術大会、演題番号AL-1.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、RORα核内受容体の制御ネットワークの全容を明らかにするとともに、その制御系の活性化に対するRORαアゴニストの効果についても評価することで、動脈硬化治療を目指した標的分子の同定および動脈硬化に対する効果的な治療薬の開発を目的としている。 RORαの標的遺伝子群を逆遺伝学的手法により選出するために、現在、RORα機能欠失細胞を薬剤選択中である。でき次第、mRNA-seq法によるトランスクリプトーム解析を実施する。また、RORαを活性化させるアゴニストの薬理効果を評価するために、RORαアゴニストの処理による標的遺伝子群の発現誘導能について、qRT-PCR法およびレポーターアッセイにより評価する。現在、RORαアゴニスト候補について、その効果を解析中である。さらに、RORα標的遺伝子のうちCLDND1遺伝子の発現亢進メカニズムの新知見に関しては、学術誌への投稿を検討している。
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