研究課題/領域番号 |
21K06796
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター (2023) 筑波大学 (2021) |
研究代表者 |
南雲 康行 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (00459661)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 新規オピオイド鎮痛薬 / κオピオイド受容体作動薬 / 疼痛緩和 / オピオイド / 難治性疼痛緩和 / バイアスリガンド |
研究開始時の研究の概要 |
オピオイド医療は、依然として残るモルヒネ抵抗性疼痛の対応や欧米のオピオイドクライシス問題などを背景に、有効的で副作用リスクの低い安全なオピオイド鎮痛薬の登場を切望している。本研究では、合理的独自設計により世界で初めて鎮静作用および精神作用を分離した新規κオピオイド受容体(KOR)作動薬YNT-1612を用い、鎮静作用に影響されないKORの本質的な鎮痛能がモルヒネ抵抗性疼痛やがん性疼痛に有効かつ安全であるか詳細に解析する。また、副作用の分離機構を分子薬理学的に解析し、EBM医療に向けた鎮痛薬としてのKOR作動薬臨床適用の体現と、副作用分離に向けた創薬開発の情報基盤構築を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、合理的な設計により鎮静作用および薬物嫌悪性を分離した新規κオピオイド受容体(KOR)作動薬が、痛みに対して有効かつ安全であるかを解析した。本化合物は、がん性疼痛などの痛覚応答に対して鎮痛作用を示し、その鎮痛用量は鎮静作用ならびに薬物嫌悪作用を生じない用量帯であることを明らかにした。さらに、本化合物の慢性投与では、既存薬と比較して鎮痛耐性形成が弱い可能性や、モルヒネとの併用では鎮痛作用が増強する可能性が明らかになった。以上の結果は、今後KOR作動薬として初めて臨床適応可能な鎮痛薬の開発として、非臨床POC取得への基盤となる可能性が示される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
臨床使用されるオピオイド鎮痛薬は、ほとんどがμオピオイド受容体作動薬であり、吐き気や便秘、傾眠や呼吸抑制などの副作用の他、疼痛下ではほとんど問題とならないが、非疼痛下では強い依存性を示すことが問題となっている。特に、欧米では依存性が深刻な社会問題となっている。従って、本化合物の様な薬物依存性や嫌悪性といった精神作用を示さない新規のオピオイド化合物は、社会的薬物依存問題への歯止めになる可能性があり、さらに鎮痛薬としては、鎮静作用などの副作用に対する安全性が高い化合物として、医師の処方ならびに患者の服用を見込める可能性がある。
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