研究課題/領域番号 |
21K06798
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関谷 敬 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (40511374)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ノルアドレナリン / 大脳皮質 / カルシウムイメージング / 青斑核 / アルツハイマー病 / イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アルツハイマー病における認知症発症前の病態を解明することで、認知症発症の予測を可能とする早期診断法の確立を目的とする。病態モデルマウスを用い、病態初期における神経活動と血流動態を可視化し、認知症発症に至るまでの病態を解明する。本研究では、情報処理や血流制御に深く関わるノルアドレナリン神経の神経核である青斑核の活動を可視化し、大脳皮質視覚野の神経活動可視化および血管平滑筋のカルシウムイメージングによる血流動態の可視化と併せ、大脳皮質の情報処理や血流制御への作用について、ノルアドレナリン神経の機能解析を行う。また、これらの解析を病態モデルマウスへ応用し、認知症発症前の病態解明に迫る。
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研究実績の概要 |
アルツハイマー型認知症などの、脳機能に関わる病態においては、早期に発見し、進行を遅らせるということが非常に大切である。その理由として、脳機能の回復には、脳組織が正常な状態に回復するということだけでは不十分であり、脳に保持されていた記憶などの情報が復元されなければ、回復したとは言えないからである。しかしながら、疾患により失われてしまった情報が回復することは、ほぼ期待できないため、脳機能に関わる疾患は、初期病態の理解に基づく早期診断と、治療による病態進行の阻止が重要である。本研究では、アルツハイマー型認知症において早期から脱落することが知られるノルアドレナリン作動性神経に注目し、その働きを明らかにすることを通して、アルツハイマー型認知症の初期病態における新たな知見を得ることを目的とする。これまで、ノルアドレナリン作動性神経にカルシウムインジケータを発現させたトランスジェニックマウスを作製し、大脳皮質におけるノルアドレナリン神経細胞の活動イメージングを行った。大脳皮質をほぼ無秩序に走行するノルアドレナリン神経の軸索の活動可視化に取り組んできた。まず、2光子励起現象を用いた断層撮影をすることで、大脳皮質のさまざまな深度における軸索の活動動態を詳細に捉えることを実現した。加えて、コンフォーカルピンホールを用いた異なる種類の断層撮影にも成功し、大脳皮質の広い範囲における軸索の走行を捉えることができた。脳は、処理される情報に応じたさまざまな脳領野を形成しているため、いくつかの領野を含めた広い範囲でのノルアドレナリン神経軸索の活動を評価することで、大脳皮質におけるノルアドレナリン神経機能の解明が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
さまざまな撮像方式の顕微鏡を用いて、大脳皮質におけるノルアドレナリン作動性神経の活動解析を行った。大脳皮質における神経活動のより詳細な評価を行うため、神経活動が保持する情報が一部読み解かれている大脳皮質視覚野における神経活動のイメージングにも取り組んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の申請計画に基づき、ノルアドレナリン神経軸索の活動と、大脳皮質の神経活動との機能解析を行う。これらの解析から、アルツハイマー病における認知症発症前の病態に重要であるノルアドレナリン神経の機能解明を行うとともに、アルツハイマー型認知症の初期病態に関する知見を得る。
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