研究課題/領域番号 |
21K06800
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 雅美 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員 (80434182)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ELF3 / がん / 細胞死 / 免疫応答 / 消化器がん / 転写因子 |
研究開始時の研究の概要 |
E74-like factor 3 (ELF3) は、上皮細胞の発生の最終段階で発現を増加させ、正常な上皮組織の維持を担う転写因子である。我々はこれまでに、ファーター乳頭部がんを用いたゲノム解析からELF3 の不活化変異を見出し、ELF3 の機能低下は、上皮間葉転換を促進する転写因子の発現を増加させ、細胞の遊走/浸潤を引き起こすことを明らかにしている。一方、アポトーシスは通常、発生や成長段階で細胞を適切に除去することで正常な組織構築を保つメカニズムである。本研究では、ELF3 の「アポトーシス抵抗性」や「免疫回避」における役割に焦点を当てて解析し、新たながん進展抑制薬のターゲットを探索する。
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研究実績の概要 |
今年度は、ELF3 が直接的に発現制御する免疫関連因子の同定を行った。HBDEC2 細胞を用いて CRISPR-Cas9 システムにより ELF3 を遺伝子欠損した細胞 (ELF3-knockout(KO)細胞)とそのKO 細胞を用いてtetOn による ELF3を過剰発現させた細胞を作製し、遺伝子発現解析を行った。さらに、ELF3 過剰発現細胞を用いて ELF3 の特異的抗体による ChIP-Seq 解析を行い、KO 細胞と過剰発現細胞の遺伝子発現変動と照合し、ELF3 が直接結合することで発現制御すると考えられる 53 遺伝子を抽出した。これらを用いてpathway 解析を行ったところ、defense response、inflammatory response、positive regulation of cell migration において有意差が認められ、いずれも免疫細胞の遊走を制御する因子の発現に関わっていることが明らかとなった。そこで、好中球を遊走させるロイコトリエンB4の産生酵素である5-リポオキシゲナーゼ (ALOX5)、活性化T細胞の遊走に寄与するケモカインであるCXCL16 (CXCL16)、上皮細胞と免疫細胞の接着に関わるintegrin beta2 (ITGB2) に着目し、ChIP assay を行ったところ、ELF3 がこれらの遺伝子に直接的に結合していることを明らかにした。以上のことから、ELF3 は、発がんの過程で細胞死を誘導するだけではなく、免疫細胞の遊走にも関わっている可能性が考えられ、ELF3の機能低下は発癌に寄与することが示唆された。
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