研究課題/領域番号 |
21K06804
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山下 智大 九州大学, 薬学研究院, 講師 (30645635)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | MRGPRs / かゆみ / 化合物スクリーニング / 末梢神経系 / ドラッグリポジショニング / オーファンGPCR / DRGニューロン / マスト細胞 / MRGPR / DRG神経 / 肥満細胞 / エコファーマ / 創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,既承認薬,天然化合物,薬用植物エキス,海洋微生物そしてペプチドなどの多種多様な資材やライブラリーを利用することで,主に末梢神経系に発現する各種Mas関連Gタンパク質共役受容体(MRGPR)の機能を特異的に制御する化合物やペプチドを見出し,その薬効を評価することで各種MRGPRのかゆみ伝達メカニズムを包括的に明らかにする。さらには慢性的・難治性のかゆみを止める画期的な創薬シーズの探索を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題では既承認薬やペプチド、海洋微生物などを活用し、アゴニスト活性およびアンタゴニスト活性を有する新規研究資材を見出すことで、各種Mas関連Gタンパク質共役型受容体(MRGPRs)のかゆみ伝達に果たす役割の解明と、さらにはかゆみや炎症を抑える画期的な創薬シーズの探索を進めた。
項目1「神経系に発現するMRGPRA3およびMRGPRC11のかゆみへの関与」の研究課題では、前年度に見出したMRGPRC11を活性化する新たなペプチドのさらなる検証により、構成する5アミノ酸残基の中で、特にC末端側の3アミノ酸が重要な働きを担うことを確認した。またジフェニルシクロプロペノン(DCP)誘発接触皮膚炎モデルのDRG神経において、7日目および14日目においてMrgprC11mRNAの発現量が増加することを確認した。一方で、MrgprA3mRNA発現量には有意な変化は認められなかった。
項目2「マスト細胞や樹状細胞など免疫細胞に発現するMRGPRsのかゆみへの役割」の研究課題では、MRGPRB2アゴニスト活性を有するcompound 48/80やサブスタンスP刺激による腹腔マスト細胞の脱顆粒応答に対して、前年度に同定した2つのアンタゴニスト候補化合物の効果を評価した。シカゴスカイブルーはcompound 48/80刺激による脱顆粒応答のみを抑制した。一方でもう一つの化合物には、脱顆粒応答を惹起する作用を有することを確認した。またMRGPRB2をはじめとした複数のMRGPRsに対してアゴニスト活性を有するD-Arg1,D-Trp7,9,Leu11]-SP(Spantide)、Spantide IIそしてTyr-D-Phe-Phe-D-His-Leu-Met-NH2など既存の計5種類のサブスタンスPアナログを腹腔マスト細胞に処置したところ、すべてのペプチドに顕著な脱顆粒応答が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数のMRGPRsに対して、機能を活性化するいくつかの研究資材を得られることに成功した。一方で、MrgprC11mRNAの発現変化を確認できた慢性掻痒モデル動物に対して、薬物の効果を評価する上で、MRGPRC11のアンタゴニスト作用を有する既承認薬のさらなる阻害活性の向上が必要である。そして海洋微生物エキスライブラリーの中から、MRGPRC11およびMRGPRX1の阻害活性を有するサンプルの発見に成功したが、R5年度までに阻害活性に有効な成分の同定に至っていない。またMRGPRB2やMRGPRX2に対して、十分な阻害作用を有する既承認薬やペプチドの同定にも至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
MRGPRC11のアンタゴニスト作用を有する既承認薬については、複数の誘導体を評価することで、構造活性相関の確認およびより強い阻害活性を有する化合物の探索を目指す。またMRGPRC11およびMRGPRX1の阻害活性を有する海洋微生物エキスから有効成分を同定できたら、慢性掻痒モデル動物におけるかゆみおよび炎症行動への影響を検証する。さらに、より多種多様な資材を利用することで、MRGPRB2やMRGPRX2さらには役割が不明なMRGPRsに対して阻害活性を有するペプチドや化合物を探索する。
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