研究課題/領域番号 |
21K06805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
岩田 和実 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60305571)
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研究分担者 |
松本 みさき 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80533926)
天ヶ瀬 紀久子 立命館大学, 薬学部, 准教授 (60278447)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 心線維化 / NADPH oxidase / 細胞外マトリックス / NADPHオキシダーゼ / 拡張機能不全型心不全 / NADPH オキシダーゼ / 活性酸素種 |
研究開始時の研究の概要 |
心不全の約50%を占める「拡張機能不全型」心不全は、有効な治療法がないため予後が不良である。拡張機能不全の主因は過剰な心線維化であり、筋線維芽細胞の活性を制御する新しい治療法の登場が待たれる。一方で心傷害部位の線維化組織による置換は心臓破裂を防ぎ、心臓保護に重要な役割を果たしている。 最近、申請者は心筋細胞で産生される数種の細胞外マトリックス (ECM)が「筋線維芽細胞の活性を抑制」することを見出した。本申請研究では「新たな線維化抑制因子としてのECM」による心傷害後の心臓保護と過剰な筋線維芽細胞の活性化抑制の両立を目指し、「拡張機能不全型」心不全の新たな予防および治療法の開発に繋げる。
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研究実績の概要 |
心不全の約50%を占める「左心室の駆出率がたもたれた心不全:HFpEF」は,有効な治療法がないため予後が不良である.HFpEFでは拡張機能が障害され,過剰な心線維化がその主因の一つとして考えられており,筋線維芽細胞の活性を制御する新しい治療法の登場が待たれる.一方で心傷害部位の線維化組織による置換は心臓破裂を防ぎ,心臓保護に重要な役割を果たしている.申請者は活性酸素産生酵素の一つであるNOX1/NADPHオキシダーゼ(NOX1)を欠損した (NOX1-KO)心筋芽細胞株H9c2で産生される数種の細胞外マトリックス (ECM)が「筋線維芽細胞の活性を抑制」することを見出した.本申請研究では「新たな線維化抑制因子としてのECM」による心傷害後の心臓保護と過剰な筋線維芽細胞の活性化抑制の両立を目指し,HFpEFの新たな予防および治療法の開発に繋げる.前年度までにNOX1-KO H9c2細胞のホモジネートを筋線維芽細胞に暴露すると増殖が抑制されること,さらにNOX1-KO H9c2では線維化の抑制作用が報告されているsmall leucine rich proteoglycans (SLRPs)の数種類の分子の発現が上昇していることを見出した.今年度はこれら発現上昇が認められたSLRPs分子をゲノム編集法により欠損させた細胞のうち,オステオグリシンおよびポドカンを欠損させた細胞のホモジネートを筋線維芽細胞に暴露したところ,NOX1-KO H9c2で認められた筋線維芽細胞の増殖抑制効果が回復した.NOX1-KO H9c2のホモジネートは筋線維芽細胞の増殖の抑制とともにアポトーシスを誘導することを新たに見出した.また,NOX1の欠損により誘導されたオステオグリシンおよびポドカンが筋線維芽細胞のアポトーシス誘導に関与することをあきらかにした. これらオステオグリシンおよびポドカンを新たな線維化抑制因子の候補としてさらに検討を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NOX1欠損による筋線維芽細胞数の増加抑制にアポトーシスも関与していることも新たに見出し,その作用機構の検討に時間を要した.線維化抑制効果をHFpEFモデルで検討を行うために,HFpEFモデルとして近年報告されたL-NAMEの飲水と高脂肪食を15週間摂取させるモデルで実験を行ったため予定より時間がかかってしまった.またHFpEFの拡張機能不全を評価するために心エコーを用いたが,測定手技の習得に予定よりも時間が掛かってしまった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は候補遺伝子を高発現させたH9c2細胞を作製し,心線維芽細胞の増殖および線維化の原因となる1-3型コラーゲンおよびフィブロネクチン遺伝子および蛋白発現に対する作用を検討し候補ECM分子の絞り込みを行う. 絞り込みを行った候補ECMを発現するウイルスベクターを用い,病態モデルに対する効果について検討する. 1)候補ECMの保護効果を,心筋細胞の広範囲な脱落が生じるマウス冠動脈の結紮による心筋梗塞モデルを用い検討する.生存率,死亡例については心破裂の有無,心肥大(心重量/脛骨長比),組織学的検討としてトロポニンIの免疫染色による心筋細胞残存率およびTUNEL染色によるアポトーシス数を心保護効果の指標として評価する. 2)線維化抑制効果をHFpEF心不全モデルであるL-NAMEの飲水と高脂肪食を15週間摂取させたモデルマウスを用い検討する.心線維化は組織学的(シリウスレッド染色)および生化学的検討(ハイドロキシプロリン含量およびフィブロネクチン発現量)により,心機能の変化は心エコーおよび左心室内に挿入したプローブを用いて評価する.
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