研究課題/領域番号 |
21K06809
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
柴沼 質子 昭和大学, 薬学部, 教授 (60245876)
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研究分担者 |
日暮 大渡 昭和大学, 薬学部, 助教 (50882487)
森 一憲 昭和大学, 薬学部, 講師 (60349040)
石川 文博 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60515667)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ミトコンドリアストレス応答 / AMPK / 呼吸鎖 / ミトコンドリアストレス応答機構 / 臓器横断的癌治療薬 / 代謝ストレス応答 |
研究開始時の研究の概要 |
広範な癌腫の半数以上でミトコンドリアDNA(mtDNA)量と転写(mtRNA)量が減少している。この減少を標的に出来れば、臓器横断的で高い割合で有効な癌治療法となる。本研究では、mtDNA/RNA低下(mt-Low)細胞が、呼吸鎖の阻害に対し高度に感受性であることに着目し、その理由について『代謝ストレス応答系』に焦点を当てて解析する。また、その情報を基に、呼吸鎖を標的とする抗癌剤の提案を目指す。
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研究実績の概要 |
本課題は、近年ヒト腫瘍のかなりの割合を占めることがわかったミトコンドリアDNA/RNA呼吸鎖活性低下(mt-Low)癌に対する個別化医療のために、有効な治療標的を同定することを目的としている。手がかりとして、私達が独自に見出した知見「mt-Low癌細胞は呼吸鎖阻害剤(RI)に対して高度に感受性である」ことに着目し、(1)その高感受性のメカニズム『呼吸鎖活性-代謝ストレス応答系の共役機構の破綻』の実態を明らかにする、(2)呼吸鎖複合体構成因子に対するsiRNAについて、RI同様の有効性を示すものを探索し、核酸医薬候補を得る、(3)低濃度のRIの個体に対する安全性、有効性を調べ、臨床応用の可能性を示す、ことを目指している。 本年度は特に、(1)のmt-Low癌細胞における『ストレス応答系(AMPK/NAD+/SIRT/PCG-1α)の破綻』の実態の解明を目指した。これまでに、破綻の原因について、AMPKの活性化が鍵を握ること、そして、①呼吸鎖阻害剤の存在下でATP低下/AMP上昇(AMPK活性化の引き金)が起こらない、もしくは起こっても②AMPKが十分に活性化されない、のいずれかが原因であることを突き止めた。その後、mt-Low細胞でも①が起こることがわかり、可能性のうち、②が原因である可能性が高まった。そこで、AMPK阻害タンパク質FLCNの関与を想定して検討したが、FLCNの発現量について、mt-Low細胞で特に高い傾向は見られず、本分子の関与は低いと判断した。そこで、他の可能性について、これまでの知見を検索した結果、最近、野生型p53にPCG-1αの活性化機能があること、一方、変異型p53にはPCG-1αの機能を阻害する効果やAMPK阻害作用がある、という報告がなされていることがわかった。興味深いことに、mt-Low細胞はすべてp53が変異型であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題では、目的達成のため、以下の3項目(1)mt-Low癌細胞が呼吸鎖阻害剤(RI)に対して感受性を示すメカニズム『呼吸鎖活性-代謝ストレス応答系の共役機構の破綻』の実態を明らかにする、(2)呼吸鎖複合体構成因子に対するsiRNAについて、RI同様の有効性を示すものを探索し、核酸医薬候補を得る、(3)低濃度のRIの個体に対する安全性、有効性を調べ、臨床応用の可能性を示す、を予定している。令和5年度までに項目(1)を終了予定であったが、設定した仮説の修正を迫られた。(2)については候補を絞り込むことが出来た。(3)については、まだ実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は最終年度であるので、(1)について、最近浮上した新たな可能性(p53との関係)について検討し、結論を得る。(2)については、候補となったsiRNAによる細胞死の詳細(シグナルや様式)について調べ、(3)で、低濃度RIや、臨床試験中の新規RIとともに有用性を判断したい。
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