研究課題/領域番号 |
21K06814
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
|
研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
井手 聡一郎 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 副参事研究員 (30389118)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 治療抵抗性うつ病 / うつ病 / ケタミン / アルコール依存 / 動物モデル / モデル動物 / NMDA受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病は国内外を問わず大きな社会問題となっており、特に既存の抗うつ薬が奏功しない治療抵抗性うつ病の患者が多く取り残されているため、その対策が希求されている。しかしながら、臨床病態を反映した有用なモデル動物が確立されておらず、うつ病の難治化やその治療メカニズムの解析は難航している。そこで治療抵抗性うつ病治療薬ケタミンの“単回投与”で抑うつ様症状が改善する“臨床により近いモデル動物”を新規作成し、治療抵抗性うつ病の発症と治療に関与する脳内変容を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
既存の抗うつ薬が奏功しない治療抵抗性うつ病の対策が希求されている。しかしながら、臨床病態を反映した有用なモデル動物が確立されておらず、うつ病の難治化やその治療メカニズムの解析は難航している。そこで本研究では、既存の抗うつ薬の“長期投与”が奏功せず、近年米国で治療抵抗性うつ病治療薬として承認されたケタミンの“単回投与”で抑うつ様症状が改善するという“臨床により近いモデル動物”を新規に作成し、治療抵抗性うつ病の発症と治療に関与する脳内の器質的・機能的変化を解析した。これまでに、アルコール長期曝露と慢性ストレスの組み合わせを、様々な期間・強度・タイミングを変更し負荷することにより、最適なモデルマウス作成条件を見出した。本モデルマウスでは、新奇環境摂食抑制試験において、抑うつの指標とされる新奇環境下での摂食開始時間遅延が見られ、既存の抗うつ薬フルオキセチン(SSRI)あるいはイミプラミン(三環形抗うつ薬)の5日間連続投与では改善が見られないが、ケタミン単回処置により改善することを明らかにした。また、スクロース嗜好性試験におけるアンヘドニアを指標とした検討においても、同様の傾向を確認した。さらに、内側前頭前野(mPFC)に焦点を絞った遺伝子発現解析の結果から、通常のうつ状態では変動が見られないが、治療抵抗性うつ病様状態の時のみにmRNA発現変動が見られ、ケタミン投与により行動変容が寛解した際には変動が見られなくなる特定の生体分子を見出した。さらに当該分子の遺伝子学的手法による発現変化によりマウスが抑うつ様症状を示す結果を得ている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルス感染症対策のため多少進捗に遅れが見られたものの、想定していた研究内容はほぼ完了しており、研究成果の学会発表・原著論文投稿のための費用を残して、期間延長を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究で作製した新規アルコール依存併発治療抵抗性うつ病モデルマウスは、有用なモデル動物になることが期待される。このモデル動物におけるmPFCに焦点を絞った脳内分子発現変動を解析し、治療抵抗性うつ病の発症と治療において行動と相関して発現変動した生体分子を特定、当該分子の遺伝子学的操作による抑うつ様症状発症を確認しつつあり、統計的検出力が充分となった時点で、学会発表や論文報告などの成果報告を行う予定である。
|