研究課題/領域番号 |
21K06815
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
中山 恒 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10451923)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 腫瘍 / ピルビン酸脱水素酵素 / 代謝 / 遺伝子発現 / 低酸素応答 / 腫瘍形成 / 遺伝子発現制御 / がん細胞 / ピルビン酸脱水素酵素PDH / 細胞増殖 / 代謝制御 / がん |
研究開始時の研究の概要 |
がんは解糖系に依存した異常な代謝様式「ワールブルグ(Wb) 効果」を示す。代表者は、ミトコンドリアの代謝酵素であるピルビン酸脱水素酵素PDHをがん細胞でノックダウンすると、Wb効果が惹起されることを明らかにした。ところが、この細胞は、Wb効果を起こしているにもかかわらず、腫瘍形成能が低下しており、PDHの発現が腫瘍増殖には必須であることが示された。さらに、PDHは核に移行して、がん関連遺伝子の発現を制御することを見出した。そこで本研究では、PDHががん促進因子として働く分子機序を、ミトコンドリアPDHによる代謝制御と核PDHによる遺伝子発現制御の二つの側面から明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、がんの進展過程におけるエネルギー代謝状態の変化が、がん形成にどのような意義を持つのかを明らかにすることをめざした。まず、PDHノックアウト乳がん細胞株を樹立したところ、この細胞は増殖が有意に抑制されていた。さらに、マウスにノックアウト細胞を移植したところ、腫瘍形成能が低下していた。この細胞にPDHを発現誘導できるベクターを導入して、レスキュー実験を行ったところ、腫瘍形成能が回復した。さらに、発現誘導のタイミングを変えたところ、移植後3週間経過してからPDHを誘導しても腫瘍形成能は回復した。これらの結果から、PDHを介したエネルギー代謝は、腫瘍形成後期で有効である可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
国内の乳がん患者数は年々増加しており、女性のがん罹患者の中で最も多い。本研究により、代謝酵素の一つPDHを乳がん細胞株でノックアウトすることにより、腫瘍形成が抑制されることが明らかになった。このことから、PDH抑制は乳がん増殖を阻害するための効果的なアプローチとなることが期待される。一方で、PDHは体内で幅広く発現しており、その活性を常時・全身性に抑制することは、さまざまな副作用を引き起こすことが予想される。本研究の成果は、PDHが腫瘍形成後期で重要な役割を担うことを示しており、PDH阻害薬を後期に限定して使用することで、副作用少なく、効果の高い乳がん治療法に結びつく展望が描かれた。
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