研究課題/領域番号 |
21K06819
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
中島 光子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20541965)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ASTN1 / 脳形成障害 / ゲノムシークエンシング / Astn1ノックインマウス / iPS細胞 / AAVベクター |
研究開始時の研究の概要 |
脳形成障害とは胎生期の脳発生過程の異常により脳の大きさや構造に異常をきたす疾患であり、その疾患病態には遺伝的要因が大きく関与しているといわれている。申請者らは、脳形成障害を呈する症例の遺伝子解析を施行し、ASTN1遺伝子の両アレル性バリアントの同定に成功している。ASTN1遺伝子欠損が脳形成障害を引き起こす可能性は示唆されているが、ヒト疾患との関連は未だ明確でなく、病的バリアントがタンパク質機能に与える影響も不明である。本研究では、細胞モデルおよび動物モデルを作成し、ASTN1遺伝子バリアントが脳形成の分子病態および生体機能に及ぼす影響を検証し脳形成異常に関与する分子病態の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
アストロタクチンは、ニューロン - アストログリア相互作用を媒介する脊椎動物特異的膜タンパク質であり、本タンパク質の障害がヒトの脳形成異常との関連が示唆されている。本研究室において脳形成異常を呈する症例において両アレル性ASTN1バリアントが同定されており、本遺伝子の欠損が脳形成の異常をきたす可能性が考えられるが、現在までに追加症例の集積は得られていない。前年度までにゲノム編集技術(CRISPR/Cas9システム)を用いて作成したAstn1ノックインマウスを用いて生存や行動の変化について解析を行ったが、野生型と比較して成長・生存・脳構造において有意な差は認められなかった。また、患者由来細胞を用いてiPS細胞を作成し、神経細胞への分化誘導実験を施行したがニューロスフィアからの増殖および神経分化細胞の分化誘導には至っていない。本年度では、同定されたASTN1バリアントが機能喪失型バリアントであることを証明するために、ASTN1との結合が報告されているCDH2タンパク質に注目し、両者のタンパク質相互作用の変化を検証した。両タンパク質の発現ベクターを作成し、HEK293T細胞株を用いて一過性過剰発現させたところ、ASTN1タンパク質の発現は確認できたものの、CDH2タンパク質の発現が認められなかった。原因として塩基配列内のバリアントあるいはベクタークローニング時における大腸菌内での組換え変えなどが考えられるため。、再度CDH2ベクターの塩基配列の確認および発現細胞株の変更、クローニング用の大腸菌を変更するなどして問題改善を図っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ノックインマウスの評価では有意な結果が得られかったことと、iPS細胞からの神経分化誘導が成功していないことが原因として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
ノックインマウスにおいては有意差が認められなかったことから、in vitroでの実験を中心にバリアントが機能喪失型であることを評価する。ASTN1およびその関連タンパク質であるCDH2発現ベクターを作成し、細胞内局在の変化やタンパク質間相互作用の変化を検証する。また、siRNAを用いてASTN1タンパク質の発現を減少させて場合に生じるRNAやタンパク質の発現変動をRNAseqやプロテオミクスの手法を用いて検証する。iPS細胞からの神経分化誘導においては、新たな試薬の使用や手技手法を導入して改善がみられるかを検討する。
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