研究課題/領域番号 |
21K06826
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
佐伯 和子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00553273)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 赤血球 / 貧血 / 脂質 / 高度不飽和脂肪酸 / 膜脂質 |
研究開始時の研究の概要 |
生体機能に必要な高度不飽和脂肪酸(HUFA)は、食事から摂取されるほか、必須脂肪酸から酵素の働きにより生体内で生合成される。申請者は不飽和化酵素欠損マウスにHUFA欠乏食を摂取させることで「HUFA欠乏マウス」を樹立し、このマウスが貧血を呈することを見いだした。 本研究では、HUFA欠乏が、赤血球の形態や寿命、赤脾随マクロファージの数や活性、肝臓を司令塔とした鉄の再利用にどの様な影響を与えるか明らかにする。赤血球の異常をきたす脂質組成の変化を明らかにするとともに、どのような脂質の補充でこの異常を回避できるか検討する。赤血球をはじめとする血球の恒常性を保つのに有効な「脂質の質」の改善法を探索する。
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研究実績の概要 |
生体機能に必要な高度不飽和脂肪酸(Highly unsaturated fatty acids: HUFA)は、食事から摂取されるほか、必須脂肪酸から不飽和化酵素と伸長酵素の働きにより生体内で生合成される。 これまでに、不飽和化酵素欠損マウスにHUFA欠乏食を摂取させることでHUFA欠乏マウスを樹立したところ、赤血球数およびヘモグロビン値が低値の貧血を呈することが明らかとなった。また、赤血球の移入実験を行ったところ、赤血球以外の細胞でHUFAが欠乏することが赤血球を短命化し、貧血を引き起こしていることが示唆された。 そこで令和5年度は、赤血球のクリアランスを担うマクロファージに着目して解析を行った。赤血球は主に脾臓でクリアランスされるため、脾臓を摘出して赤脾髄マクロファージの割合と数を調べたところ、対照マウスと比較してHUFA欠乏マウスでは赤脾髄マクロファージの割合と数が増加することが明らかとなった。そこで、HUFA欠乏がマクロファージの機能に与える影響を調べる目的で、対照マウスとHUFA欠乏マウスより骨髄細胞を採取して試験管内でマクロファージへと分化させる実験を行った。興味深いことに、分化前の骨髄細胞において既に単球マーカー陽性細胞の割合が増加しており、HUFA欠乏マウスでは骨髄中で単球への分化亢進が生じている可能性が示唆された。また、試験管内で分化させた骨髄由来マクロファージを用いて機能解析を行ったところ、HUFA欠乏マクロファージでは貪食能が亢進することも明らかとなった。以上のことから、HUFA欠乏は骨髄での単球分化亢進と末梢での貪食能亢進を引き起こし、貧血を生じさせることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、HUFA欠乏マウスは貧血の症状を呈すること、またこの貧血は赤血球以外の細胞でHUFAが欠乏することで引き起こされていることを明らかにしている。さらに、HUFA欠乏は骨髄での単球分化亢進と末梢マクロファージの貪食能亢進を引き起こすことも見出しており、マクロファージによる赤血球のクリアランス亢進が貧血の原因であると考えられる。以上のことが明らかとなっており、予定していた実験計画はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、HUFA欠乏が骨髄での単球分化亢進と末梢マクロファージの貪食能亢進を引き起こすことを明らかにした。今後、HUFA欠乏がどのようなメカニズムでこのような現象を引き起こすのかを明らかにする予定である。また、HUFA欠乏による貧血が、HUFAのうちのどの脂肪酸が欠乏することで生じているか、脂肪酸レスキューの実験を行うことで明らかにする。
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