研究課題/領域番号 |
21K06837
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2023) 奈良先端科学技術大学院大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
伊東 広 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 客員教授 (10183005)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 神経炎症 / アストロサイト / 一次繊毛 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病など神経変性疾患において神経炎症に伴い障害性アストロサイトと保護性アストロサイトが誘導されることが近年明らかとなった。しかし、その誘導の仕組みや発症との関連の解明は未だ不十分である。本研究では、細胞のアンテナとして働く一次繊毛に着目し、アストロサイトにおける一次繊毛の形成の変化を探るとともに、神経系における一次繊毛の細胞機能を分子レベルで明らかにすることを目指している。
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研究実績の概要 |
老化やアルツハイマー病において脳内で慢性的な神経炎症がおこり、神経回路網の障害により認知機能の低下が起こると考えられている。これまで神経回路網の構築や維持にポジティブに働くと思われていたアストロサイトが神経炎症時では障害性アストロサイトへと変化し、逆に神経障害を導く重要なプレイヤーとして働くことが近年見出された。本研究では細胞のアンテナとして働く一次繊毛が、神経炎症に伴いアストロサイトにおいて構造的また機能的に変化するかどうか検証し、さらにその分子基盤を明らかにし、アストロサイトの一次繊毛と疾患との関係を明らかにすることを目的とした。 初代神経培養細胞を用いたin vitro実験、マウスを用いたin vivo実験を行った。その結果、グリア細胞の培養系に細菌由来のリポポリサッカライド(LPS)を添加すると障害性アストロサイトのマーカータンパク質であるC3の発現が顕著に増加するとともに一次繊毛の長さが長くなることを見出した。薬剤誘導でアストロサイトの一次繊毛の機能を減弱させる遺伝子改変(cKO)マウスを作成し、LPS投与時の脳内のアストロサイトと神経細胞死を観察した。コントロールマウスではLPS投与で細胞障害性アストロサイトの増加と一次繊毛の伸長が認められたのに対して、cKOマウスではLPS投与での障害性アストロサイトの増加と脳内の神経細胞死がともに低下していた。さらに新規物体認識テストを行ったところ、cKOマウスの認識能はコントロールマウスの認識能より高いことが観察された。これらの結果から、アストロサイトの一次繊毛が細胞炎症時の障害性アストロサイトへの分化に重要であり脳機能の低下にも関連することが示唆された。
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